勝負どころは、グラウンドの外にも待っている。ヤンキースは今オフ、主力野手と若きエース候補を巡り、財布と将来設計をにらみながら難しい決断を迫られそうだ。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は19日(日本時間同日)、今オフの契約市場を展望。ジャズ・チザム・ジュニア内野手(28)とカム・シュリトラー投手(25)の契約問題を取り上げた。

 今季限りでフリーエージェント(FA)となるチザムは、キャリア最悪のスランプに苦しみながらも、同サイトは今季を総合指標WAR3・0前後で終えれば直近3年間では11・5WARに達すると指摘。直前の1年を重視する市場の評価が逆風になる一方、複数年契約を望む球団は現れるとみており、4年契約で年俸2000万~2500万ドル(約31億8000万~39億7500万円)程度と予測した。資金力のあるヤンキースなら1年契約のクオリファイング・オファーを提示すべきだとも分析している。

 それでもチザム側には別の勝負手がある。過去にはマーカス・セミエン(現メッツ)が1年契約で価値を高め、その翌冬にレンジャーズと7年1億7500万ドル(約278億2500万円)の大型契約を結んだ。同サイトはこの前例を挙げ、チザムが自身の反発力に自信を持つなら、短期契約で市場価値を〝作り直す〟道もあるとみている。ヤンキースにとっては、長期で抱えるのか、1年でつなぐのか、その見極めも厄介だ。

 一方、より悩ましいのがシュリトラーだ。今季はサイ・ヤング賞候補にも挙がる躍進を遂げ、長期契約の相場そのものが急騰している。タリク・スクバル(ドジャース)が年俸調停で投手の最高水準を押し上げたことに加え、レッズがチェイス・バーンズと球団オプションなしの7年1億500万ドル(約167億円)契約を締結。同サイトはこの契約がシュリトラーとの延長交渉で「最低ライン」になり得ると分析し、最終的には7年1億1500万ドル(約183億円)規模になるとの試算を示した。

 チザムを残せば打線の核を維持できるが、条件を上げ過ぎれば他の補強にしわ寄せが出る。シュリトラーは早期に囲い込めば将来の高騰を抑えられる半面、すでに〝青田買い〟と呼べる金額ではない。目の前の勝利を追う名門に、今冬は「残すか、待つか、いくらまで出すか」という3つの難問が突きつけられる。