勝利のためなら、眠っていた〝本職〟まで呼び覚ます。日本ハムは9日の楽天戦(エスコン)を1―0で制し、パ2位に再浮上した。その裏側で新庄剛志監督(54)が打った次の一手が、郡司裕也捕手(28)の「捕手復帰」だ。

 チームはこの日の楽天戦で、先発マウンドに立った有原が9回6安打無失点、11奪三振の快投。自身初の2試合連続完封で今季4勝目を挙げ、3回にはNPB通算1000奪三振も達成した。打線は楽天・古謝に6回まで完全投球を許したものの、7回に五十幡がチーム初安打。水野のバントエンドランから万波の適時内野安打で1点をもぎ取った。

 試合後の新庄監督は笑みを浮かべつつ、有原を「このまま今シーズンは全部完封で締めてもらって」とジョーク交じりに絶賛。打線については「今ね、打てない時期なんですよ。打線が寒い時期が。そういう時にこういう作戦は生きてくると思う」と語った。

 その「打てない時期」を乗り切る一手として浮上しているのが、郡司だ。昨季は規定打席に届かなかったものの打率2割9分7厘。2023年途中に中日から加入した際は捕手だったが、日本ハム移籍後は打力を生かすため内野手、外野手としても起用されてきた。

 今季は開幕4番を託され、内野手としての定着も期待されたが打撃不振に陥り、6月14日に打率2割2分1厘で登録抹消。二軍調整を経て一軍に戻った後も、打率2割2分9厘と本来の状態を取り戻せていない。

 そんな中、8日の楽天戦で7回に田宮の代打で出場すると、8回から昨年8月13日以来、約1年ぶりに捕手へ。今季は投手の球を一球も受けていなかったが、2イニングを無失点で切り抜けた。翌9日には試合前から捕手練習を再開。「ボスから突然言われたので。やれと言われればやるし、流れを見てですね。やるしかないと思いますけど」と苦笑いを浮かべた。

 背景には有事への備えだけでなく、攻撃力を底上げする狙いもありそうだ。チームは現在、正捕手・田宮とプロ3年目の進藤が主にスタメンマスクをかぶる。田宮は7月15日のソフトバンク戦で左手中指を痛め、9日終了時点で打率2割7分5厘。進藤は同日の楽天戦で有原の完封を支えた一方、2打数無安打で打率1割7分6厘となった。郡司の捕手復帰は、現捕手陣への刺激にもなり得る。

 日本ハムはこの日の勝利で59勝46敗、貯金13とした。3位転落の西武を1ゲーム差で上回り、首位ソフトバンクとは7・5ゲーム差。無論、簡単に覆せる差ではない。それでも新庄監督は手を緩めず、逆転Vへの可能性を探り続けている。