新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」21日仙台大会のAブロック公式戦で、SANADA(38)がIWGPヘビー級王者の辻陽太(32)から初勝利を挙げた。今年1月から6月まで負傷欠場。決して完調とは言えない状況で、あえて最高峰リーグ戦に臨むSANADAが抱く、今大会のテーマとは――。

 ジーンブラスターを捕らえてデッドフォールを決めるなど怒とうの猛攻を見せたSANADAは、王者必殺のファイヤーブラスターも決めさせない。一瞬のスキを突いた急所攻撃でもん絶させると、この日2発目のデッドフォールで完勝。バックステージでは左腕と比べて明らかに細い右腕を見せつけ「全然違うだろ? 人間、1回どん底に落ちてからが本当の勝負なんだ」と胸を張った。

金ピカ衣装で入場したSANADA
金ピカ衣装で入場したSANADA

 開幕から2連敗と厳しい戦いが続いていた。長期欠場の影響は明らかだ。2024年から胸と鎖骨近辺が圧迫され血流が悪化する「斜角筋症候群」に悩まされ、1月に第一肋骨を切除する手術に踏み切った。

 6月に復帰したものの、神経の回復には時間がかかるため右腕の筋力はまだ完全に戻っていない。SANADAは「マックス220(キロ)上げてたベンチプレスが、今は半分も上がらないですからね。場外によくプランチャで飛んでたと思うんですけど(右腕で)支えづらくて高さが出せなかったり。今やっと、デッドフォールをできるくらいに回復はしたんですけど」と今も続く苦悩を明かす。

 G1開幕前には、4枠を争う出場者決定戦が行われた。最高峰王座戴冠の実績があるとはいえ、上半期をほぼ棒に振ったSANADAがストレートで出場することに懐疑的な声があったのも事実だ。当の本人は「まあ…俺が選んだわけじゃないから、どうこう言われたってしょうがないですよね」と苦笑しつつ、あえて現在のコンディションで出場を決めた理由を「今のはやりのプロレスとはちょっと違うのかもしれないですけど、最終的に生き残るのは〝引き算のプロレス〟なんじゃないかなと思いますね。それを探すためにG1にあえて出ようと」と説明し、新境地の開拓に意欲を見せた。

 だんだん冗舌になってきたSANADAは、言動が賛否を呼んでいる辻に対しても「王者になって何か行動したいというのは伝わりますね。まだ若いなあ、と。感謝の気持ちが足りないということかもなあ…。俺はもう、常に感謝の気持ちを持ってリングに上がってますから」とまさかの助言。極悪軍団「ハウス・オブ・トーチャー」の一員とは思えない言葉は本心なのか、それとも…。どこまでもミステリアスな男が、今年のG1にも混沌をもたらす。