強い球団は、焦って金庫を開ける前に、まず自前の金脈を掘り当てる。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は19日(日本時間20日)までに、ドジャースが傘下3Aで好投を続けるリバー・ライアン投手(27)を、なぜメジャーへ昇格させないのかという疑問点に焦点を当てた。
ドジャースは今季も好調を維持し、トレード市場での補強ばかりが注目されがちだ。だが、球団の強さは金満補強だけではない。マイナー組織の運営、故障明け投手の管理、10月まで逆算した育成プランまで含めて、王者らしい余裕がにじむ。その象徴が、2024年にトミー・ジョン手術を受け、現在3Aで段階を踏んでいるライアンだ。
先発陣はブレイク・スネル投手(33)が5月のヒジ手術後に投球練習を再開したばかりで、タイラー・グラスノー投手(32)も背中の問題で不透明な状況。それでもドジャースは、ライアンを慌てて呼ばない。アンドリュー・フリードマン編成本部長は同メディアに「大手術から戻る若い投手には、できる限り忍耐強く接することが望ましい」と説明。メジャーとマイナーでは緊張感が違うとし、目先の穴埋めよりも再発リスクの回避を優先している。
実力に疑いがあるわけではない。ライアンは150キロ台後半から100マイル(約161キロ)超の速球に加え、ツーシーム、スライダー、カッター、カーブ、チェンジアップを操る。24年のメジャー登板では4試合に先発し、20回3分の1で自責点3、18奪三振。球威だけなら、今すぐローテーションに入っても驚きはない。
それでも問題は「投げられる球」ではなく「投げ続けられる体」だ。ライアンは今春に肩の痛み、4月中旬からはハムストリングの故障で約1か月離脱。22年にドジャース傘下へ加わって以降、100イニング以上を投げたのは23年だけで、24年も3Aとメジャーを合わせて45イニング弱にとどまった。3Aで6回を投げ切れていない投手に、メジャーで安定して6回を求めるのは無理筋というわけだ。
救いは、チームに待てるだけの層があることだ。大谷翔平投手(31)、山本由伸投手(27)を中心に先発陣は踏ん張り、6人ローテーションの中で佐々木朗希投手(24)、エメット・シーハン投手(26)、ジャスティン・ウォロブレスキー投手(25)らも役割を果たしている。エリック・ラウアー投手(31)の補強も奏功し、ライアンを無理に引っ張り出す必要がない。
17日(同18日)のサクラメント戦では4回1/3を8失点と崩れたが、球団は深刻視していない。故障者が出れば声はかかる。それまでは球種の精度、長いイニング、投球数の積み上げが最優先だ。ドジャースが見ているのは6月の穴埋めではなく、ポストシーズンの戦力化。だからこそ、リバー・ライアンはまだ上がらない。焦らず待てること自体が、王者の底力なのである。












