古巣復帰の扉を、自ら閉ざした格好だ。レッドソックスのアロルディス・チャプマン投手(38)を巡るトレード観測が、思わぬ方向に火を噴いている。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は18日(日本時間19日)、ボストンが夏場までに巻き返せなければ、今季22試合で防御率0・83の剛腕守護神が市場最大級の売り物になると指摘。その一方で、古巣ヤンキースへの復帰については「実現しそうにない」と、事実上の消滅を強調した。
火種はチャプマン自身の発言だった。米スポーツ専門局「ESPN」のインタビューでヤンキース復帰の可能性を問われると、2016年から22年まで在籍した古巣での終わり方を巡り、ブライアン・キャッシュマンGM側からの謝罪を求める考えを示した。22年の地区シリーズ前、義務付けられた練習を欠席したことでポストシーズン登録から外れた一件が、今も尾を引いているというわけだ。
だが、この要求はニューヨークで火に油を注いだ。米紙「ニューヨーク・ポスト」のジョン・ヘイマン記者は、チャプマンが「勘違いしている」とバッサリ。むしろヤンキースは、一度は危機に瀕したキャリアを立て直す場を与えた球団であり、逆に感謝すべき立場だと切り込んだ。さらに同記者は、チャプマンがあえて復帰の芽をつぶすために発言したとの見立ても示し、球団側にも再獲得への興味はないと断じた。結論は「可能性は全くない」。これ以上なく冷たいシャットアウトだった。
しかも、問題はヤンキースだけにとどまらない。低迷するレッドソックスにとって、勝負を諦めて売り手に回るならチャプマンは格好の交換カードとなる。ただし、同じア・リーグのライバルに終盤の切り札を渡す展開は球団感情としても避けたいところ。行き先があるとすれば、より現実的なのはナ・リーグ球団という見方が強まる。
通算でも屈指の豪腕として鳴らしてきた左腕は、38歳となった今も価値を落としていない。だからこそ市場では欲しがる球団が出る。だが、ヤンキースだけは別だ。謝罪要求で話題をさらったはずの一言は、交渉材料ではなく絶縁状になった。ピンストライプ復帰劇は、夏の市場が本格化する前から幕を下ろした。












