マンハッタンの熱狂が、ブロンクスの主砲に火をつけた。右肋骨の疲労骨折で離脱中のヤンキース、アーロン・ジャッジ外野手(34)が、ニューヨークに再びトロフィーを持ち帰る決意をにじませた。米メディア「ヘビー」は19日(日本時間20日)、NBAのニックスが53年ぶりの優勝でパレードを行って街を歓喜に包んだ直後、ヤンキースの主将が「次は自分たちだ」とばかりに力強いメッセージを発したと報じた。

 ニックスは18日(同19日)、地元ニューヨーク・マンハッタンの「キャニオン・オブ・ヒーローズ」で優勝パレードを実施。チームカラーの青とオレンジに染まった沿道で、ファイナルMVPのジェイレン・ブランソン(29)がトロフィーを掲げると、53年分の鬱憤を晴らすような大歓声が巻き起こった。ニューヨーク全体が一つの勝利にのみ込まれた歴史的な光景だった。

 その熱を誰よりも肌で感じていたのがジャッジだ。妻とともにNBAファイナル第4戦を観戦し、ニックスが優勝まであと1勝に迫る瞬間を目撃。試合中の緊張感、逆転劇、そして会場を揺らした歓声は、現在欠場中の主砲にも強烈な刺激となった。ジャッジは「6月にニックスが優勝し、10月にヤンキースがワールドシリーズを制すれば、世界平和がもたらされる」と冗談交じりに語ったが、その言葉の奥にある優勝への渇望は本物だ。

NBAニックスの優勝で、パレードで沸いたNY市街(ロイター)
NBAニックスの優勝で、パレードで沸いたNY市街(ロイター)

 ヤンキースは2009年以来、ワールドシリーズ制覇から遠ざかっている。昨季は大舞台に戻りながらドジャースに敗れ、頂点には届かなかった。それでも今季はジャッジ不在の中でもア・リーグ東地区首位を走り、チーム力の厚みを示している。18日(同19日)は1―5で敗れて4連勝がストップし、打線の沈黙やブルペンの課題も改めて浮き彫りになったものの土台は崩れていない。

 だからこそ、最後のピースは主将の帰還だ。ニックスの優勝に触発されているジャッジは「勝ちたい。この街で偉大なことを成し遂げ、ヤンキースを再び頂点に戻したい」と強調する。

 ニックスが半世紀超の沈黙を破ってマンハッタンを揺らした今、ブロンクスの名門にも重い宿題が突きつけられた。パレードは一度で終わらせない――。ニューヨーク発の〝世界平和〟を本気で完成させるには、10月にヤンキースが頂点へ駆け上がるしかない。