元竜の左腕が、今度は竜の前に立ちはだかる。巨人は17日、今季ワシントン・ナショナルズ傘下2Aハリスバーグなどでプレーしていた小笠原慎之介投手(28)と契約合意に達したことを発表した。中日でNPB通算46勝を挙げた左腕は、ポスティングシステムを利用したメジャー挑戦から約1年半で日本球界に復帰。しかも古巣ではなく、セ・リーグのライバル球団を新天地に選んだだけに、竜党の胸中は穏やかではない。
もっとも、中日サイドは小笠原の巨人入りを冷静に受け止めている。井上一樹監督(54)は「昔のよしみで勝負を生ぬるい形でやりますという選手がいるわけでもない。ライバルの球団の一員としてしか見ていない」と言い切る。親交の深い柳裕也投手(32)も「人としては一生仲間だと思っていますし、それは変わることはない。野球としてはセ・リーグの敵になりますし、チーム全体でドラゴンズとして勝たないといけない相手だと思います」と表情を引き締めた。
兄貴分の大野雄大投手(37)も受け止め方は大人だった。「いいんじゃないですかね。ルールの範囲内で何も悪いことをしてませんし、その中でジャイアンツは熱心に調査して戦力の補強として獲りにいった。ポイントが一致したからジャイアンツにいくという感じですかね」と分析。その上で「彼の野球人生が豊かになることを願っていますし、ジャイアンツに入って先発かわからないけど頑張っている姿を見たいなと思います」と、かつての後輩へ温かいエールを送った。
星野仙一監督時代を知るOBの一人も「中日は(ナショナルズから)譲渡金を受け取っているし、巨人に行くのは何の問題もないよ」と断言する。続けて「昔は巨人戦となればファンも選手もすごく燃えた。でも今は(みんなが)知っている選手も少ないし、他のチームと対戦するのと変わらない。小笠原が入ったことでジャイアンツ戦が盛り上がるし、いいんじゃないか」と、むしろ新たな火種として歓迎した。
リーグ戦再開となる19日から、中日は敵地・東京ドームで巨人と3連戦に臨む。4年連続で負け越している天敵を相手に、元チームメートの〝禁断移籍〟は竜ナインの意地に火をつけるのか。冷えかけていた竜と巨人の因縁が、一人の左腕によって再び熱を帯びそうだ。












