強さの土台は、白星だけでなく未来への布石にも表れている。ソフトバンクは今年も得意の交流戦で14勝4敗と白星を量産し、リーグ戦再開に弾みをつけた。モイネロ、上沢という替えの利かない2本の柱を欠く中で登用された若い先発陣の奮闘を、強力打線と救援陣がサポート。若手に場数を踏ませながら、2桁の貯金を稼いで態勢を整えた。

 リーグ3連覇と、その先の常勝へ――。順風満帆に成長曲線を描いている若鷹がいる。2023年ドラフト1位入団の前田悠伍投手(20)は、今季ここまで6試合に先発して無傷の4勝、防御率2・70。交流戦は2戦2勝で、13日のヤクルト戦(みずほペイペイ)ではプロ最長の7回を投げ抜き、小久保監督も「着実に階段を上がっている」と目を細めた。

 5月24日の日本ハム戦では初回に満塁弾を浴びて4回途中KOに追い込まれながら、打線の援護に恵まれて黒星を免れた。名門・大阪桐蔭のエースとして甲子園を沸かせ、U18日本代表を初の世界一に導いた男らしい「勝負強さ」はプロでも健在。球団幹部の一人は「そういう星のもとに生まれている。本人にもその自覚がある」と目を見張る逸材だ。今年8月で21歳。20代前半で主力を担うスターの台頭は、球団の未来を明るくする。シーズン序盤にトッププロスペクトが「無傷の4勝」で〝飛躍の軌道〟に乗ったことは、前半戦の大きな収穫だ。

 前田悠は昨年9月、シーズン終了を待たずして左ヒジ関節クリーニング手術を受けた。すべては「3年目の飛躍」から逆算しての判断。ここまでは球団フロント、現場、本人がイメージを共有しながらステップを踏んでいる。手術明けのシーズンだけに、現場もフロントも「無理は禁物」が共通認識。登板間隔を適度に空けながらの「ゆとりローテ」採用が、3年目のロードマップだ。後半戦もあくまで数年先を見据えた起用で、成長を後押ししていくことになる。

 育成と勝利の両立――。見逃せない奮闘が続いている。