5月14日に栃木県上三川町で自宅にいた富山英子さん(69)が殺された強盗殺人事件で、下野署捜査本部は27日、通信アプリで指示を出すなどして事件の〝主導役〟とみられる40代の男について、強盗殺人容疑で逮捕状を取った。男は事件後、中国に出国。さらに東南アジアに向かった可能性があるとみられている。

 捜査本部はこれまで、同容疑で〝実行役〟とされる神奈川県の高校生4人(いずれも16歳)や、〝指示役〟とみられる横浜市の竹前海斗容疑者(28)と妻の美結容疑者(25)を逮捕。匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)事件として、さらに上位の指示役がいるとみて捜査しており、40代の男が竹前容疑者に指示を出したとして主導役とみている。

 また、県警は、事件の約1週間前に現場の住宅近くで、家屋に侵入するための工具を持っていたとして、ピッキング防止法違反(特殊開錠用具所持)の疑いで、茨城県八千代町の清掃作業員、渡辺昌英容疑者(41)を再逮捕した。闇バイトで雇われた下見役とみられる。

 謎の一つは主導役がフィリピン、タイ、ラオス、ドバイなどに直接行かず、中国を経由した可能性があることだ。

 犯罪に詳しい関係者は「中国側に協力がいた、もしくは今回の犯行に中国系ネットワークを利用したのかもしれません。中国へ逃げたのではなく、中国に戻っていったん態勢を立て直したということも考えられます。つまり主導役の上位に中国のネットワークがある可能性があります。近年のトクリュウ事件では、日本国内の実行役は日本人でも、上位管理者、資金洗浄役などが中国にいるケースがあります」と語る。

 日本のトクリュウは、実行役を闇バイトで募るなど、SNSで即席に集まる烏合の衆だ。しかし、中国の犯罪組織は、海外から人をさらい、監禁して〝教育〟し、特殊詐欺や強盗の術を仕込む。大企業張りに組織的だ。今回、40代の男は中国を経て東南アジアに向かったとみられているが、東南アジアの特殊詐欺の拠点は中国の犯罪組織が関与していることが少なくない。

 中国事情通は「中国の犯罪組織の典型的な階層としては、最上位が金主のボスで絶対に現場に出ないし、どこにいるかも分からない。重要なのは資金洗浄役。そして、管理人は主導役に近い。その下に、命令を出す指示役、リクルーター、下見や道具調達役、実行役がいます。中国内での犯行は、公安による監視カメラで厳重に監視されているので難しい。なので中国の犯罪組織は、特殊詐欺でも強盗でも、日本を標的にする流れになっています」と指摘している。

 捜査の手はどこまで伸びるのか。