匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の実行役の低年齢化が進んでいる。栃木・上三川町(かみのかわまち)の強盗殺人事件では神奈川県の高校生4人が逮捕されたが、東京・新宿区の会社事務所に押し入り強盗しようとして逮捕された者の中にも17歳の高校生がいた。トクリュウの犯罪が低年齢化している背景とは――。

 東京・新宿区の会社事務所に押し入り強盗しようとしたとして、強盗未遂などの疑いで、25日までに警視庁捜査3課に逮捕されたのは、アルバイトの安達慎哉容疑者(20)と高校2年の少年(17)を含む17~20歳の男ら計6人だった。

 6人は実行役と凶器の準備役で、一部は同じ小中学校出身で面識があった。また、実行役の一人は匿名性が高い通信アプリで指示役と連絡を取っていたという。警視庁はトクリュウが関与しているとみて調べている。

 今月、栃木・上三川町の強盗殺人事件で逮捕された神奈川県の少年4人は、全員16歳の高校生だった。4人は指示役に従う実行役で、トクリュウの犯罪だとみられる。

 新宿の事務所は、3月にも窃盗未遂事件が発生し、その際に使用された車は上三川町の事件前に現場付近で目撃された車の特徴と酷似していたといい、関連を調べている。

 また、奈良県警は25日、奈良市の住宅に複数の男が押し入り、住人の女性が軽傷を負った事件で、強盗致傷などの疑いで京都府の男子高校生ら17~18歳の3人を逮捕した。トクリュウが関与しているとみて調べる。

 新宿、上三川町、奈良の事件の実行役は、いずれもSNS経由の闇バイトで集められた〝高校生〟の年齢だ。上には指示役がおり、指示役の上には黒幕が存在する。〝若者のモラル低下〟だけでは説明がつきにくいと思われるが、トクリュウの犯罪で高校生が実行役として使い捨てにされる合理的な理由があるようだ。

 犯罪事情に詳しい関係者は「海外でも〝暴力の外注化〟〝犯罪のウーバー化〟として、少年がSNSやゲーム経由で強盗事件に勧誘され、使い捨ての実行役にされるケースが急増しています。その中でも、ギャング文化がある銃社会の国々と違い、日本ではコンビニバイトをしていた高校生や部活動にいそしんでいた高校生が、会ったことのない人から匿名性が高い通信アプリ『テレグラム』を通じての指示だけで、いきなり強盗殺人までやってしまうことの異常さに注目が集まっています」と語る。

 トクリュウの上層から見ると、高校生は〝使いやすい駒〟だという。

「高校生はSNSネイティブで、X、インスタグラム、TikTok、スレッズなど、あらゆるSNSを使い分けるので、『高収入』『ホワイト案件』『即日10万円』などの書き込みの闇バイト募集に接しやすいのです。リアルと同じぐらいの感覚で、SNSで人間関係を構築しているので、知らない相手への接触のハードルが低い。また、社会経験が少ないため『1回だけなら大丈夫かな』『学生証を送信してしまい脅されてるから仕方ない』などと、判断力が極めて乏しいようです」と同関係者は指摘する。

 対策を急ぐしかない。