東京・新宿区の路上で動画配信中に刺殺された佐藤愛里さん(当時22歳)の婚約者男性が15日、殺人罪などに問われた高野健一被告(44)の判決公判後、取材に答えた。

 この日、東京地裁は高野被告に対して懲役16年(求刑20年)の実刑判決を言い渡した。

 起訴状などによると佐藤さんは「最上あい」と名乗り、ライバーとして活動。配信動画を見た高野被告が佐藤さんに好意を抱き、直接連絡を取り合うようになった。佐藤さんが勤務するキャバクラに約70万円を支払ったほか、佐藤さんからお金を貸してほしいとお願いされ、約250万円を貸した。しかし、ほぼ返済されなかったことに怒りや恨みを募らせ、昨年3月に新宿の路上でライブ配信中の佐藤さんの顔や腹などをナイフで複数回刺し殺害した。

 今回の判決について婚約者男性は「僕は司法の判決に準じるので特に大きく感情が揺さぶられることはないですが、妥当かなと思います」とコメント。

 当初は極刑を望んでいたという。自身の婚約者の命を奪われたのだから無理もない。

 心境が変わったきっかけは、公判で明らかになった金銭トラブルだった。佐藤さんからは借金は「80万円程度」と聞かされていたが、この男性が高野被告に直接電話すると「裁判になっていて250万円だ」と説明されたという。実は男性自身も「すぐ返せるから」と頼まれ、消費者金融から借り入れて金を貸した経験があるのだ。

「僕もだまされた一人かもしれない。そう思うと、高野被告も同じだった可能性がある。情状酌量の余地は十分にあると思います」と一定の理解を示した。

 黒色のスーツで出廷した高野被告は丸刈り頭で、左手にはハンカチが握られていた。懲役16年の判決を聞いても表情を変えることなく、その後の判決理由に耳を傾けていた。