「ルフィ」などと名乗りフィリピンから広域強盗事件を指示した疑いがある渡辺優樹、今村磨人両被告らの特殊詐欺グループの「掛け子」をしていた熊井ひとみ被告(26)に東京地裁は7日、懲役2年の実刑判決を言い渡した。

 熊井被告は「被害者の方には申し訳ない気持ちで反省しています。その一心で弁済させていただきました。これで終わったなんて思っていません。ボランティアを続け、罪を犯したことを忘れないように真面目に生きていこうと思います」と反省の言葉を口にした。

 一方で、法廷では熊井被告の弁護人による被害者への一方的な弁済も明らかになった。熊井被告は2019年に仲間らと共謀し、都内に住むA氏(65)とB氏(76)のキャッシュカードをそれぞれ盗み、A氏から350万9000円、B氏から63万3000円の計414万2000円をだまし取った。B氏との被害弁済と示談は済ませているが、A氏は拒否している。

 しかし、A氏が拒否しているにもかかわらず熊井被告の弁護人が、A氏の了承を得ずに被害の350万9000円を一方的に弁済したという。検察によるとA氏は「弁護士としてあるまじき行為。お金が返ってきても犯人を許す気にはならないし、罪が軽くなるのは困る」と処罰感情が強いという。検察も「処罰感情を無視。一方的に返金し、逆なでした」と批判した。一方の弁護人は「(一連の事件で熊井被告は)ただ1人被害補填をした人物。軽視されるべきではない」と訴えた。

「弁済したことは評価できますが、熊井被告の一方的な主張が目に付きます」と出版関係者は指摘。熊井被告は、同じ詐欺グループの藤田海里被告と内縁関係にあり、逮捕され帰国後に子供を出産。裁判でも「一緒に2人で育てていきたいと思います」と語っている。

熊井ひとみ被告と藤田海里被告(フィリピン入国管理局)
熊井ひとみ被告と藤田海里被告(フィリピン入国管理局)

「弁護側は子供がいることを理由に執行猶予を求めていました。一方的に弁済するなど身勝手な主張の印象は拭えません」(同)と厳しい目が注がれている。