実兄の声援と京都の空気が、201センチ左腕の背中をそっと押した。中日は26日の楽天戦(バンテリンドーム)に1―0で勝利し、セ・リーグで唯一の交流戦白星発進を決めた。

 主役は8回5安打無失点の快投で今季初勝利をつかんだカイル・マラー投手(28)。井上一樹監督(54)も「これまで勝ち星に恵まれませんでしたけど、今日は自分でもぎ取った素晴らしいピッチングでした」と手放しでたたえた。

 苦い記憶を自ら振り払った。前回20日の阪神戦(甲子園)では6回まで無失点。7―0の7回二死満塁から2点適時打を浴びて降板すると、リリーフ陣が崩れて初勝利を逃した。それでもマラーは「そういう展開も起こりうる。野球は持ちつ持たれつなので」と前を向き続けた。

 心を整える支えになったのが、来日中の2歳上の兄・クリスさんだった。クリスさんも投手としてプレーし、幼いころから切磋琢磨してきた間柄。2022年にはマラーがブレーブス傘下3A、クリスさんがレイズ傘下のチームに所属し、投げ合ったこともある。

弟・マラーの今季初勝利に大喜びのクリスさん(左)とジュリア夫人
弟・マラーの今季初勝利に大喜びのクリスさん(左)とジュリア夫人

 前回登板後の休日には、兄夫婦と京都を訪れた。「いつも新しい場所に行くのは、気分転換になるのでよかったです。兄と一緒に清水寺に行きました。街を歩くのは野球から離れて気分転換になった」と英気を養った。

 この日はクリスさんが、ジュリア夫人とともにスタンドから声援を送り続けた。弟の快投に「日本に来て初めての試合で8回無失点と、これ以上ない素晴らしいピッチングを見せてくれた。本当によかったよ」と感激。マラーもお立ち台で「今日は兄貴と奥さんがスタンドに来ていて、試合中もずっと叫んでいてくれた。2人のおかげです」と感謝した。

 待望の白星をつかんだ助っ人左腕が、ドラゴンズ反攻の起点となるか。