二刀流にも「休ませ方」の設計図がある。ドジャース・大谷翔平投手(31)は28日(日本時間29日)に本拠地ドジャースタジアムで行われたマーリンズ戦に先発登板し、6回104球、5安打2失点(自責1)、3四球、9奪三振と力投した。それでも相手先発ジャンクの前に打線は沈黙。8回にウィル・スミス捕手(31)の適時打で1点を返すにとどまり、チームは1―2で敗れた。大谷も今季初黒星を喫した。
 
 大谷は通常の「1番・指名打者」ではなく打順から外れ、今季5度目の先発で2度目となる投手一本のマウンドだった。米メディア「スポーティングニュース」も報じているように、今季初めて中5日で登板し、翌29日(同30日)にはデーゲームも控えていたことが判断材料となった。過密日程と投打の負荷を考えれば、ドジャース側の判断には明確な狙いがあった。

 デーブ・ロバーツ監督(53)は試合後、「一番大切なのは、翔平のために正しいことをすることだ」と説明。「今夜は彼がラインアップにいなくても勝てたはずだ。満足している。同じ状況になったら、また同じことをする」と言い切った。敗れたから方針が揺らぐのではなく、むしろ続ける。そこに今回の運用の意味がにじむ。

 伏線もあった。ドジャース専門メディア「ドジャースビート」によれば、ロバーツ監督は大谷の打撃面の出遅れについて「昨季は投手陣への需要があまりなかったため、彼は打撃に集中していた」と指摘。今季は投球回数や球数への意識が高まり「打撃面での負担や生産性をある程度、削減する必要がある」とも語っていた。

 つまり、この日のマーリンズ戦は敗れたとはいえ大きな意味を持つ。大谷が2024年にドジャースへ加入して以降、ロバーツ監督とアンドリュー・フリードマン編成本部長(49)らフロント陣が共有し、議論を重ねてきた「二刀流をどう長持ちさせるか」という命題の実験でもあったからだ。

 フル稼働だけが最適解ではない。前出の「ドジャースビート」なども同調している通り、あえて投打の出力を日ごとに調整する〝Two―Way Dry Day(トゥーウェイ・ドライ・デイ=二刀流休肝日)〟こそ、10月まで怪物を壊さず走らせる新たな操縦術になり得る。