日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が20日に行われ、選手会は第6回WBCでも使用されたサイン伝達機器「ピッチコム」の導入を要望した。NPB側も前向きな姿勢を見せた一方、投球間隔制限「ピッチクロック」については先送りされた格好。選手会の会員の中でも賛否が分かれている背景と双方の〝本音〟とは――。
折衝を終えた選手会の近藤健介会長(32=ソフトバンク)は「ピッチコム」の導入を申し入れたことについて「サイン盗みの疑いもなくなる。投手、捕手、内野手の連係の部分でメリットはかなり大きい」と説明。シーズン途中からの解禁も含め「選手が対応できるのであれば、すぐにでもというのは言わせてもらった」と打ち明けた。
ただ、「ピッチクロック」に関しては「投手のケガも関係してくる。意見をまとめて判断してからになると思う」とするにとどめ、7月に行われる選手会の臨時大会までに集約する考えを示した。
試合時間の短縮を目的とし、国際規格にもなっている「ピッチクロック」を巡っては、WBC敗退後に大谷翔平投手(31=ドジャース)が「ファンの方たちにとってはあった方がいいんじゃないかなと個人的には思う」と話したことでも話題となった。
しかし、一筋縄にはいかない問題もある。NPBの大半の日本選手が加入する選手会の足並みがそろっていないためだ。
選手会はMLBが2023年から導入して以降、投手の故障リスク増大などを理由に一貫して「反対」。もちろん、やみくもに「NO」を突きつけているわけではなく、会員であるNPB選手たちから決を採った上で組織として態度を明確にしてきている。その中で「ピッチクロック」がある国際大会に出場した経験を持つ現役選手の一人によると、選手間には温度差があるという。
それによれば、大まかに「世界で戦いたい、勝ちたいという選手。WBCやプレミア12などの国際大会で米国やドミニカ共和国などの強国に負けたくないという人」という〝推進派〟。もう一つは「NPBにはNPBだけの良さがある。WBCなど国際大会はあくまでも短期間の話。所属球団から給料だけもらえていれば十分」とする〝慎重派〟だという。
NPBは支配下選手だけでも800人を超える大所帯。だが、代表に選出される人数は多くても30人程度に絞られる。多くの選手が「ピッチクロック」の環境下でプレーした経験がなく、当事者意識が共有されていないことも意見が二分される根底にあるようだ。
前出選手は国際ルールとNPBルールについて「実際にプレーすれば、全然違うことは誰でもすぐに感じる」と話していた。ルールを変更するのであれば、まずは選手会の考えを統一させることが不可欠となりそうだ。












