第6回WBCで史上初のベスト4入りを逃した侍ジャパンの敗退を受け、球界内で改めてNPBへの「ピッチコム」と「ピッチクロック」の導入を急ぐべきとの声が強まっている。

 ピッチコムは、投手と捕手が電子機器でサイン交換を行うシステム。ピッチクロックは投球間隔を管理するルールで今大会は無走者で15秒、走者ありで18秒に設定された。打者にも準備時間の制限があり、けん制やプレートの外し方にも回数制限が設けられた。

パワプロ仕様のピッチコム
パワプロ仕様のピッチコム

 侍ジャパン投手陣はアドバイザーとして参加したダルビッシュ有投手(39=パドレス)の助言も受けながら、2月の強化合宿から新ルールへの適応を進めてきた。だが、短期間で完全に体に染み込ませるのは容易ではなかった。

 14日(日本時間15日)に行われた準々決勝(ローンデポ・パーク)のベネズエラ戦では、伊藤大海投手(28=日本ハム)が先頭打者への2球目でピッチクロック違反を取られた。さらに8回には種市篤暉投手(27=ロッテ)が二塁へのけん制を悪送球し、痛い追加点を失った。

 この場面で侍側が重く見たのは、単なる失策そのものではない。ベネズエラは出塁のたびに大きなリードを取り、日本にけん制を意識させた。ルール上の制約を踏まえた揺さぶりを徹底し、日本の判断と動作に圧力をかけていた。関係者も「ベネズエラは上手にルールを利用していた。逆に日本が攻撃中にそういった相手投手の制約を逆手に取ったような揺さぶりを考えていたかというと、そこまでは…」と振り返る。普段からピッチクロックの環境下で戦う相手との差は投球動作だけでなく、攻守の駆け引きにも表れた形だ。

 本来、こうしたルール対応は短期合宿の付け焼き刃ではなく、日常の公式戦の中で体内時計として身につけるのが理想だろう。にもかかわらず、今月下旬開幕のNPBで投球時間制限はルール化されていない。

「NPBで(ピッチクロックを)導入しない限り、選手は代表に集まるたび、またゼロからやることになる。日本のプロ野球の流れでやって国際大会がピッチコム、ピッチクロックなら絶対に同じ問題が続いてしまう」(前出関係者)

 今回の屈辱的な敗戦は、国際基準との距離を改めて突きつけた。もはや導入をためらっている段階ではない。