阪神・藤川球児監督(45)が、WBCを終えて帰国した主力勢に〝立ち止まるな〟のメッセージを発した。

 虎将は17日のロッテとのオープン戦(ZOZOマリン)で、前日16日に帰国したばかりの佐藤輝明内野手(27)を4番・三塁、森下翔太外野手(25)を3番・DH、坂本誠志郎捕手(32)を8番・捕手で先発起用。チーム合流即のスタメンとした。さらに、大山悠輔内野手(31)も6番・一塁に入り、ほぼベストメンバーでオープン戦に臨んだ。

 侍帰りの3選手は無安打で途中交代し、試合中に宿舎へ戻った。それでもスタメン発表時には両軍スタンドから歓声と拍手がわき起こった。試合は2―4で敗れたが、指揮官の視線は目先の1敗には向いていない。大舞台を終えた直後であろうと、敗戦のショックや悔しさに浸って歩みを止める必要はない。根底にあるのは「止まる理由がない」という、元メジャーリーガーらしいアスリート観だった。

 一般企業のように「働いたから休む」という発想とは、当然ながら違う。WBCもメジャー経験も持つ藤川監督だけに、アメリカ遠征に伴う長距離移動や時差、限られた実戦機会も織り込み済み。それでも「アスリートは常に磨き続けるもの。その程度の困難は乗り越えていくのがトップレベルの選手」との思いを込め、3選手を強行出場させた。

 その指揮官の哲学を体現するように、森下も前を向いた。自身の状態については「まだまだ上げていかないといけない部分はある」と冷静に受け止めつつ、「自分としてはまずコンディションを整えたい」と足元を見据えた。

 27日の巨人との開幕戦(東京ドーム)へ向け、特別な思いを抱きながらも、藤川監督は「シーズン最後の日まで自分たちのチームを作り上げていく」との姿勢を崩さない。WBC組の離脱期間をチャンスと捉えていた若虎たちも、競争の厳しさをあらためて思い出したに違いない。ここから再び動き出す。帰国翌日の即合流、即スタメンは覚悟を示す一手。虎はもう、次の戦いに入っている。