侍ジャパンはWBC連覇を果たせず、14日(日本時間15日)の準々決勝・ベネズエラ戦(マイアミ)に5―8の逆転負け。6大会目にして初めて4強入りを逃した。井端弘和監督(50)は1次ラウンドから不振を極めた近藤健介外野手(32=ソフトバンク)をスタメンから外すことを決断。1番・大谷(ドジャース)の直後を打つ重要な2番打者に佐藤輝明内野手(27=阪神)を起用した。

 近藤は開幕から12打数無安打、出塁も1四球のみ。井端監督は状態が戻らないNPB屈指の好打者をあきらめ、一発長打の怖さを持つ佐藤を2番に配して大谷が勝負を避けられるリスクを軽減させた。その佐藤は3回に一時同点に追いつく適時二塁打をマーク。首脳陣の思い切った采配は奏功した。

 ベンチスタートとなった近藤は追い詰められた9回一死無走者の場面で代打出場。だが、160キロの速球に手が出ず、見逃し三振に倒れて13打数無安打で大会を終えた。

 心中覚悟の主力を外す決断はいかにして下されたのか。近藤がオフから取り組んできた「速球対策」の一環でスタンス幅を狭め、ヒザを曲げない新たな打撃フォームへの移行を中断したのが大会初戦の3日前。この時点で侍関係者、NPB関係者が行く末を案じていたのは事実だ。焦りや苦悩が表面化する中で、代表首脳陣は辛抱強く復調を待った。しかし、マイアミ入りと同時に〝英断〟が下された。決め手は「1次ラウンド中のベンチ内での所作」だった。

 首脳陣は選手の不振時の姿勢や振る舞いに敏感だ。自分のことで精いっぱいといった余裕のない姿を目にすれば「次」を託すことにちゅうちょする。表情や視線、ベンチ内での試合への入り方、声掛けへの反応、返答内容が判断材料になる。侍関係者によると、普段ホークスなどで見せない近藤の〝弱気な言動〟を井端監督も早くから察知。中でも「ギラつきを失った目」が決定打となり、指揮官は断腸の思いでスタメン表から名前を消したという。

 大会前から続いた救援投手の離脱など誤算も多かった井端ジャパン。懸命のタクトも連覇には遠く及ばなかった。