連勝の勢いが、侍ジャパンの厚い壁を前に止まった。8日に東京ドームで行われたWBC1次ラウンドで、C組のオーストラリアは侍ジャパンに3―4で逆転負けを喫した。今大会初黒星となったが、その中で再び「ジャパニーズ・ドリーム」をつかもうと、人一倍の熱量を注ぐ男がいる。

 その中心にいるのが、ジャリッド・デール内野手(25=起亜)だ。この日は「5番・遊撃」で先発出場し、快音は聞かれず4打数無安打に終わったものの、初戦の台湾戦(5日)とチェコ戦(6日)では計3安打をマーク。攻守にわたる安定感で、今や代表チームの要となっている。

 16歳でオーストラリアリーグでのキャリアを始めたデールの足跡は、挑戦の連続だった。2017年にはソフトバンクの入団テストに挑むも不合格。パドレス傘下でのプレーを経て、25年にはオリックスへ育成選手として入団した。支配下契約こそ届かなかったが、今季からは韓国KBOの起亜へアジア枠での入団を勝ち取った。それでも究極の目標は、今もなおNPBの舞台に帰ることにある。

 こうした海外志向の強さは、父・フィル氏譲りと言えるだろう。父はかつてブレーブスなどでスカウトを務め、1990年代後半からアジアでの活動を本格化させた先駆者だ。「環太平洋スカウト」の草分け的存在として知られ、MLB界でもその実績は広く語り継がれている。

 世界の有力スカウトが熱視線を送るWBCの舞台。23年大会やプレミア12と国際大会の常連となったデールにとって、かつてプレーを熱望した日本のトッププロとの激突は、自らの現在地を知る絶好の機会だった。この日の敗戦の悔しさを胸に、不屈の遊撃手は再び日本の地で輝く日を夢見ている。