日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(64)が19日、宮崎で行われている侍ジャパンの事前合宿を訪問した。前回大会で日本代表を率いて世界一に導いた名将は、井端監督や2023年に共闘したダルビッシュらと笑顔で言葉を交わし、身ぶり手ぶりも交えながら激励。視察後の取材対応では、報道陣に異例の「リクエスト」を送った。

 取材の冒頭から〝栗山節〟は全開だった。代表質問を前に「僕の質問はいいです! 皆さんの力で連覇、よろしくお願いします。以上…そういう感じじゃないですね」とちゃめっ気たっぷりにあいさつ。場を和ませつつも、その言葉には連覇への強い願いがにじんだ。

 栗山氏は、前回大会で共に戦った選手たちに対し「連覇おめでとう」と〝予祝〟していたことも明かした。冗談めかして聞こえる表現だが、真意は明確だ。「冗談で言っているわけではなくて。報道する皆さんもね、『絶対連覇する』って決めて報道してもらいたいし、僕もそうやって応援していくのでぜひよろしくお願いします」。報道の側にも「勝つ前提」で熱を上げてほしい――。そんな要望を、あえて言葉にした。

 周辺によれば、栗山氏は普段から選手を前面に立て、自身は裏方に回る姿勢を貫いてきたという。にもかかわらず、この日はあえて報道陣の前で言葉を添えた。チーム関係者は「栗山さんはもともと『選手が主役』と言って自分は黒子に徹するタイプ。それでも野球愛が強すぎるから、侍のために自分ができることは何でもしよう、といろいろと考えて動いているのではないか」と心境を推し量る。

 実際、準々決勝以降が行われる米国で侍ジャパンを激励に訪れる案もあったという。しかしながら、今回はあえて大会前の宮崎を選んだ。「こっち(宮崎)にいたほうが盛り上げ側としてはいいかなという風に思ったので」(栗山氏)。勝負の舞台に同行するよりも、出発前の空気を整えることこそが自分の役割だと判断したようだ。

 前回大会の功労者は、今年は「陰」から侍を支える構えだ。キャスターとしても言葉の力を知る栗山氏が、報道陣に向けて繰り返したメッセージ。連覇へ向けた「応援の設計図」を、まずは宮崎の現場に示した形となった。