九州プロレスに関わる中で、TAJIRIが繰り返し口にするのが、自身の立ち位置についての考え方だ。
「出過ぎたことをしない、というのは一番大事にしていること」。そう前置きした上で、「この年になって、ここでオレが前に出て何かをやろうとするのは違う」と続けた。団体の中での振る舞い方について、あらかじめ線を引いている様子がうかがえる。
自身のキャリアについても、必要以上に大きく捉えてはいない。「正直に言えば、自分が大したことをしてきたとは思っていない」。そう語りながらも、「若い選手が育っていく過程を見てきた時間はある」と付け加える。今の自分に残っているものとして挙げたのは、その経験だった。肩書や実績よりも、積み重ねてきた時間に目を向けている。
九州プロレスの中には、それぞれ異なる役割を担う選手がいる。営業活動で力を発揮する選手、慰問活動を得意とする選手がいて、全員が同じことをやる必要はないという考え方が、団体全体に根付いている。「ばってん×ぶらぶらは営業力が本当にすごいし、桜島なおきは慰問が得意で、子供を相手にするのがうまい」。具体的な名前を挙げながら、役割分担の重要性を語る。
2023年に九州プロレスに入団してから現在まで、TAJIRIは慰問活動に参加したことがない。その点については、九州プロレスの理事長である筑前りょう太の判断によるものだと受け止めている。「そういう役回りは、オレには合っていないと思われているんだと思う」。団体の中で無理に役割を作るのではなく、適材適所であることを重視している姿勢がうかがえる。
自分が何でもやる必要はない。求められている場所で、求められている役割を果たす。それ以上でも、それ以下でもない。「オレはオレにできることをやるだけ」。出過ぎないという選択は、消極性ではなく、組織を成立させるための距離感だ。そうした距離の取り方が、今の九州プロレスでの立ち位置につながっている。













