九州をプロレスで盛り上げる――その覚悟を叫び続けてきた男がいる。NPO法人・九州プロレス理事長の筑前りょう太(52)だ。1998年のメキシコでのデビュー以来、“九州ば元気にするバイ!”を旗印に活動してきた。新日本プロレス「レスリングどんたく2025」では棚橋弘至と共闘。女子部「キュージョ」の始動や、17年間拠点だった福岡・社領道場の移転も控える中、筑前が語る原点と使命、そしてこれからの九州プロレスとは――。

試合開始前にリングであいさつする筑前りょう太
試合開始前にリングであいさつする筑前りょう太

 ――佐山聡(初代タイガーマスク)への憧れは、海外修行を志す原点になったのか

 筑前 子供の頃から圧倒的にカッコよくて、心をつかまれた存在だった。佐山さんのように“プロレスの幅”を体で学びたいと思い、メキシコを目指すようになった。

 ――メキシコでのデビュー戦で強く残った光景は

 筑前 超満員の熱気で「ここから始まる」という覚悟が芽生えた瞬間だった。文化も声援も新鮮で、プロレスの懐の深さを実感した。

 ――九州プロレスを立ち上げた際、自分に課した使命とは

 筑前“九州ば元気にするバイ!”のひと言。福岡に戻った時の恩返しをしたい思いが強くなった。

 ――入場無料方式へ踏み切った考えは

 筑前 知らない人にもプロレスを届けたかった。初めて見た子供が目を輝かせる瞬間に、続ける意味を感じる。

 ――巡業・福祉・NPO活動を通じて感じてきたこと

 筑前 離島や過疎地域で待ってくれる人の存在は大きい。元気を届けるつもりが、逆に教えられることも多かった。「何のためにやるのか」を常に問われ続ける点もNPOならではだと感じている。

 ――社領道場の移転をどう捉えているのか

 筑前 所有者変更で再開発の意向が出たため。長年の場所で名残惜しいが、新しい挑戦だと思っている。

 ――新しい道場に求めたいものは

 筑前 育成環境と地域とのつながり。道場も地域密着の象徴でありたい。

 ――女子部「キュージョ」の指導陣として加わるセンダイガールズの里村明衣子社長、TAJIRIに、どんな役割を期待しているのか

 筑前 世界で戦ってきた里村さんには“強さ”の基準を、TAJIRIには技術や発想の“幅”を若手に示してほしい。2人が“本物”を伝えることで基準が一気に引き上がると感じている。

 ――キュージョ発表後の反響と課題は

 筑前 反応は大きいが、若い世代へどう広げるかが課題となる。

 ――棚橋弘至との長い因縁を振り返ると

 筑前 棚橋は僕にとっての“太陽”。強くてまぶしく、真正面から向き合うと焼かれそうな存在。それでも横から追いかけ続けた特別な相手ですね。

 ――今年5月の「レスリングどんたく」で棚橋と組んだ意味は

 筑前 一つの区切りだった。長い因縁が並び立つ形で結ばれた感覚があった。

今年5月のレスリングどんたくで棚橋弘至(左端)と共闘した筑前りょう太(中央、右はTAJIRI)
今年5月のレスリングどんたくで棚橋弘至(左端)と共闘した筑前りょう太(中央、右はTAJIRI)

 ――棚橋の1・4東京ドーム引退をどう受け止めている

 筑前 寂しさはあるが、あの舞台で終えるのは棚橋らしい。時代をつくったレスラーの区切りとしてふさわしいと思う。

 ――今後、九州プロレスをどんな団体にしたい

 筑前 プロレスをみんなの真ん中に戻したい。子供たちが当たり前に話題にする存在にしたい。そのために地域と向き合い続ける。

インタビューに答える筑前りょう太
インタビューに答える筑前りょう太