「ヤングライオン魂」で俺も戦う――。阪神は5日に仕事始めと新人入寮を迎えたが、年明けの球団施設をざわつかせたのは野球ではなくプロレスの〝衝撃デビュー戦〟だった。新日本プロレスの1・4東京ドーム大会で行われた東京五輪柔道金メダリスト・ウルフアロンの初陣はジャンルを超え、球団幹部や虎の未来を担うドラフト1位ルーキー・立石正広内野手(22)の心までも揺さぶっていた。
この日は、阪神にとって新年初仕事とルーキー7人の入寮が重なった慌ただしい一日となった。そんな中で球団内の話題をかっさらったのは、前日4日に開催された新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 20 in 東京ドーム」でウルフアロンがEVILを相手に鮮烈なマットデビューを果たした一戦だ。
試合前日となる3日の公開調印式では対戦相手の「ハウス・オブ・トーチャー(H.O.T)」のリーダー・EVILから「オマエが負けたら、坊主ならびに柔道着禁止だ」と理不尽な要求を突きつけられ、写真撮影の際には不意を突く形で強襲も受けた。
しかし迎えた4日のデビュー戦だった。まさかの丸刈り姿で登場すると、それまで羽織っていた柔道着を入場ゲートで脱ぎ捨て、黒のショートパンツ&ニーパッド、リングシューズ姿へと変身。新日本プロレスのヤングライオンを象徴する「ストロングスタイル」となった日本初の五輪金メダリストレスラーに対し、超満員札止めとなった会場はどよめきと歓声が入り交じり、異様な熱気に包まれた。
マットでも柔道仕込みの圧倒的なフィジカルを武器にパワフルなプロレス技を連発。H.O.Tの集団暴行やイス&パウダー攻撃を浴びても耐えしのぐと、元五輪王者でWWEレジェンドのカート・アングルの必殺技アングルスラムや、同日に引退した棚橋弘至の必殺技ハイフライフローまでお見舞いした。最後は柔道仕込みの逆三角絞めで失神させ、レフェリーストップ。劇的勝利を飾り、初陣ながらNEVER無差別級王者に君臨する大快挙となった。
猛虎の面々も、ウルフのデビュー戦戴冠にインスピレーションを得たようだ。プロレス観戦歴40年超を誇る阪神の球団幹部は「久々の地上波ゴールデン帯放送だったので、しょっぱい試合になってしまったらどうしよう…」と実の母親のような心境でテレビ観戦していたとのことだが、的確なロープワークやレスラーとしての引き出しの豊富さを随所に披露したウルフの雄姿に大満足。「プロレス初戦とは思えない動きだった」と柔道五輪金メダリストのポテンシャルに太鼓判を押した。
そして、この衝撃は〝虎のヤングライオン〟立石の心にも確かに響き渡った。逆境をはねのけ、最後は必殺の一撃で仕留めたウルフの姿に大きな感動を与えられた様子で「アスリートとして刺激になります」と力強く言い切った。同じルーキーとしても2026年はプロデビューを迎える重要な年。異なるジャンルとはいえ、いずれ自らも敵地巨人戦の舞台で立つことになる東京ドームで超満員の観客を前に激勝したウルフの雄姿は脳裏にしっかりと焼き付けられたようだ。
来季は世代ナンバーワンスラッガーが〝必殺の一打〟で100年に1人の逸材となり、甲子園にカネの雨を降らす――。













