阪神は球団史上初となる連覇をにらみ、来季へ向けた戦力編成を着々と進行中だ。ドラフトの目玉選手だった立石正広内野手(22=創価大)を3球団の1位競合で引き当てるなど、順調な動きを見せている。果たして、投打で充実した陣容をそろえる藤川虎に死角はあるのか――。代えがきかない絶対的レギュラーが守ってきたポジションにこそ「盲点」は潜んでいる。

 藤川監督が「理想的な指名ができた」と振り返った通り、今秋のドラフトでは2位で谷端将伍内野手(21=日大)、3位で岡城快生外野手(22=筑波大)と、大卒即戦力野手を3巡連続で指名。今季の虎の数少ない弱点だった「控え野手層の薄さ」を埋めたいという、編成サイドのコンセプトが明快に際立った。

 今季最後までレギュラーが定まらなかった左翼の定位置争いも、ルーキーたちの加入で活性化することは必至。内野を本職とする立石、谷端らの外野コンバートも十分にあり得るだろう。

 一方、今のチームでは近本、中野、森下、佐藤輝、大山、坂本と絶対的なレギュラー選手たちが固定起用されている。その中で「少々不安が残る」と球団OBが指摘するのが、一塁の「バックアッパー不足」だ。同ポジションは、チーム不動の5番打者でもある大山悠輔内野手(31)の指定席。直近3年で2度、ゴールデン・グラブ賞の一塁部門にも輝いた名手の存在があってこそ、猛虎は攻守で安定した戦いを続けることができた。

攻守において替えのきかない選手となっている阪神・大山悠輔
攻守において替えのきかない選手となっている阪神・大山悠輔

 だが今オフには、大山の控えとして一塁を守ることが可能だった原口、ヘルナンデス、渡辺らが現役引退、自由契約などで一斉に退団。本職を外野としながら、ファーム戦の多くで一塁を守ってきた井上も現役ドラフトでロッテへ移籍してしまった。

 虎の現有戦力で一塁を守ることが可能なのは、糸原、熊谷などのユーティリティー選手の他に、外野を本職とする小野寺や前川らごくわずかだ。前川は一塁手としての一軍守備経験は、まだ1試合のみと心もとない。

 サインプレーの遂行なども含め、一塁手の守備能力は現代野球で極めて重要視されている。前出のOBも「このチームで一番代えがきかない選手は、大山なのかもしれない。彼が万が一にも負傷などで離脱してしまうと、チーム力は攻守で大きく落ちてしまう」と指摘し、安定感のある一塁バックアップ要員育成の必要性を訴える。

 2027年シーズンからはDH制がセ・リーグにも導入。今よりさらに野手が「もう一枚」必要になる将来も見据え、来春の虎キャンプでは新たなコンバートなど妙案を練らなければならなくなるかもしれない。