【取材の裏側 現場ノート】本職は虎番だが、今秋11月に東京ドームで開催された「ラグザス侍ジャパンシリーズ」日韓戦2試合を取材した。韓国代表のリュ・ジヒョン監督(54)の姿を初めて見たのは、井端監督らも同席の上で行われた同14日の前日会見。ひと目見た瞬間から「なんかこの人、謎に親近感が湧くなあ」と感じていたがその理由はすぐに分かった。だってあまりにも阪神・平田勝男二軍監督(66)にソックリだったのだ――。
「警戒している日本人選手は?」と問われると「牧選手です。代表コーチ時代から、彼はいつも私にあいさつをしてくれたので良い印象を持っています」と選手代表として井端監督の隣に座っていたハマの主砲の名を挙げ、ニヤリと親指を立てながらヨイショ。お調子者気質でコミュ力が高そうなところも、平田さんにソックリだ。
「カツオさん…。いつの間に西宮から東京に来てたんや?」。「いやアレは生き別れになった兄弟説まであるで…」と周囲の虎番経験記者たちも静かにザワつき始める。ビール瓶を持たせたら間違いなく「お疲れナマです」とオヤジギャグをキメてくれそうだ。
最も印象的だったのは第2戦(同16日)終了後の会見。最終9回に起死回生の同点弾を放ったキム・ジュウォンに対し、韓国メディアから「つい先日、祖父が亡くなったと聞いたのですが?」との質問が飛んだ時だ。
ここまで気丈に対応していた23歳の若者は、一気に胸を詰まらせてしまい3~4分もの長きにわたり言葉を絞り出すことすらできなくなる。目に浮かんだ涙をこぼさないように、必死に上を向く姿は、見ているこちらとしても強く胸を打たれた。
そんな彼に対し、横からそっと涙を拭くためのティッシュを差し出し、手元にあった水をひと口飲むように促したのがリュ監督だった。キムが心を落ち着かせるのを見届けてから「質問の答えはもうしばらく待っていただいてから」と指揮官自ら助け舟。監督―選手という間柄に捉われず、ひとりの人間として横に座っていた若者を優しく気遣う姿が印象的だった。情の厚さと人間味をにじませるキャラクターもやはり、平田さん的だ。
7―7のドローに終わった同戦の結果からも分かるように、やはり韓国は一発勝負のWBC本番では侮ることなどできない相手だ。白熱の日韓戦だけでなく「韓国のカツオさん」にもう一度会える日を、コッソリと楽しみにしている。(阪神担当・雨宮弘昌)













