奈落の底へと突き落とされたコロラドのファンに再び笑顔は戻るのか。ナ・リーグ中地区最下位、球団史上ワーストの119敗――。崩壊寸前のロッキーズが再建の切り札としてGMに招聘したのは10年間、MLBを離れNFLへ転身していた〝異端の頭脳〟を誇るポール・デポデスタ氏(52)だった。

 この驚きの人事について、米全国紙「USA TODAY」の名物記者ボブ・ナイチンゲール氏が大々的に特集。記事公開直後から反響を呼び「なぜ彼が戻ってきたのか」とのざわめきが一気に広がっている。

 デポデスタ氏が最後にGM会議へ出席したのは10年前。今年の同会議が行われているラスベガスの会場では、名前を知る関係者こそ多いものの「実際に会ったことがない」というMLBの球団幹部がほとんどで、まさに違和感たっぷりの復帰劇となった。NFLではブラウンズの「戦略責任者」として56勝99敗1分け。あのQBデショーン・ワトソン(30)を獲得した「暗黒トレード」にも関与し、評価は賛否が分かれている。

 しかし本人に迷いはない。デポデスタ氏は「私は挑戦が好きなんです」。復帰を後押ししたのは元ロッキーズGMのダン・オダウド氏ら旧知の存在だ。かじ取りを任されるロッキーズは3年連続100敗超え、7年で6度の最下位。防御率6.65の投手陣、22年から7年1億8200万ドルの巨額契約を結び「重荷」となっているクリス・ブライアント内野手(33)や、若手偏重の薄い戦力と課題は山積みとなっている。だがデポデスタ氏はむしろ、その「困難さ」に魅力を感じたという。

 この10年間でMLBの価値観は激変。OPS、打球角度、打球速度が主軸となり、打率や完投は「過去の指標」と化した。デポデスタ氏は「常にMLBの動向を追っていた」とも語り、NFLで磨いた分析力と組織再建の知見をドジャースの大谷翔平投手(31)や山本由伸投手(27)らが躍動する「最先端のMLB」に持ち込もうとしている。前出のナイチンゲール氏も記事の中で「ドジャースや大谷翔平らが時代の先頭を走る中、新旧のスポーツ界を知り尽くすデポデスタ氏が新たな挑戦を試みようとしている」とも指摘している。

 ちなみにデポデスタ氏は「全ての答えを持っているわけではない。でも必ず見つける」。その言葉通り、徹底的に現場とフロントの声を吸い上げ、球団全体の改革に踏み込む構えだ。

 果たしてロッキーズは、この「異端の頭脳」で奇跡の復興を遂げるのか。それとも大胆な賭けが裏目に出るのか。「USA TODAY」の特集記事が反響を呼ぶ中、逆襲の物語は今始まった。