テレビ朝日で放送中の「新日ちゃんぴおん!」プロデュース興行が9月12日に後楽園で行われ、鉄人・小橋建太が“緊急参戦”。スぺシャル解説として参加してH.O.Tから挑発を受けると棚橋が金丸を羽交い締めにして強烈なチョップを3発、さらにEVILにもチョップを3連発し、会場を大いに沸かせた。

勝負を決めた小橋建太の剛腕ラリアート
勝負を決めた小橋建太の剛腕ラリアート

 新日本勢にスーツ姿でチョップを見舞って本領を発揮した鉄人だったが、初めて新日本プロレスにGHCヘビー級王者として乗り込んだのは、2003年5月2日東京ドーム大会だった。相手は蝶野正洋。文字通りの頂上対決だった。

「ドームが揺れた。いや震えた。10分過ぎ、蝶野に異変が生じる。トップロープからブレーンバスターをサク裂させた際に痛めている左ヒザがついに暴発。右脚を軸にしたケンカキックを放つが、鉄人の牙城は崩せない。蝶野はここで重大決心。左脚をフル回転させる覚悟を決めた。ケンカキックにバックドロップ4発。小橋の巨体を回転させた。STF、バタフライロックを耐え抜いた小橋はハーフネルソン・スープレックスを爆発。蝶野の古傷・首がきしんだ。そして剛腕ラリアート。蝶野は断末魔の叫びを上げるが、小橋はパワーボムでコーナーに叩きつけ、再びハーフネルソン。カウント2も再びハーフネルソン弾。まさに鬼だ。天山がエプロンに駆け上がりタオルを投入しようとする。だが蝶野は這い上がり、リングでの“殉死”を選択した。蝶野の首がマットでくの字となるハーフネルソン弾は実に6発。そして2発目の剛腕ラリアートが火を噴いた。28分27秒、小橋のKO勝ちだ。自力で立ち上がった蝶野は涙を流しながら握手を求め、勝者の手を自ら上げた。あまりに壮絶な決着に言葉すら忘れていた5万5000人の大観衆から、ようやく歓声が上がった」(抜粋)

 控室でも蝶野は涙を流したが、報道陣の前で涙を流したのは初めてだった。それほど小橋の鬼のような強さは際立っていた。

 15年後の対談で小橋は鬼のハーフネルソン6連発について「あれは天山選手が悪いんです。天山がエプロンに上がって、タオルを投げようとしたから『俺たちの勝負を邪魔するな、出ていけ』と言って、蝶野さんを引きずり下ろして…。俺の心にいけない気持ちを出させたのは天山さんなんです」と弁明したが、蝶野は「いや、もう少し思いやりがあってもいいだろう」とこぼすばかりだった。 

 どんな時でも相手を完膚なきまでに叩きのめすのが鉄人の鉄人たるゆえんだった。引退から12年。今後も鬼のチョップを披露して「鉄人健在」を証明してほしい。(敬称略)