大躍進のきっかけをつかめるか。6日に閉幕した陸上の日本選手権(東京・国立競技場)は、女子1500&5000メートルで田中希実(25=ニューバランス)が世界選手権(9月、東京)の切符を獲得。女子800メートルの久保凛(17=東大阪大敬愛高)も世界選手権の代表入りに大きく前進した。五輪4大会連続出場の福士加代子さん(43)は、両選手の伸びしろに期待を寄せている。

 今大会の田中は5000メートルで福士さんの大会記録を21年ぶりに更新し、4連覇を達成。1500メートルでも6連覇を果たした。7日の世界選手権代表会見では「(今季は)自分を見失うことが多かった」と葛藤を告白したが、福士さんは「田中選手は『世界で戦ったら、自分はまだまだだ』と猛省することが多い」と意識の高さを称賛。その上で「今大会は迷いながらも自分で攻めていこうと思って体が動いたと思うので、ちょっとはいい反応があったんじゃないかな」と高く評価した。

 日本で敵なしの田中とはいえ、世界に目を向ければ多くのライバルが存在する。ただ、福士さんはプラスに捉えており「1人で走るのには限界があると思うし、今の田中選手が想像している走りがあるかもしれないが、大舞台で世界の選手と戦うことで新たな理想が生まれることもあるので、競り合いの中で出る田中選手の走りがすごく楽しみ」と胸を膨らませた。

 久保は800メートルの決勝で自らが持つ日本記録を0秒41更新する1分59秒52をマークした。福士さんは「1分台を出すと言って出せなかった人たちがたくさんいる中で、きっちり出してくるのはすごい。この勢いのまま故障せずに進んでほしい」と太鼓判を押す。

 さらに、正式に出場が決まれば初となる世界選手権に向けては「いろんなことを経験してほしい。他選手と競るとなかなか思ったようなレースができなくなるけど、戦略が変わるようになる。競り合うことによって新たな戦術を得たりすることもある」と指摘。学びを得る貴重な機会になるとの見方を示した。

 数々の大舞台を経験した福士さんも注目する日本女子中長距離界のダブルエースは、大きな可能性を秘めている。