セ・リーグ首位を走る阪神は10日の西武戦(ベルーナ)に2―4で敗れ、連勝が「4」でストップ。他のセの上位球団もそろって敗れたため、ゲーム差に大きな変動はなかった。藤川球児監督(44)が指揮を執るチームの強みは12球団屈指の陣容を誇る投手陣、森下や佐藤輝ら主力打者の好調がクローズアップされがちだが、強さの源には新たな武器も見え隠れしている。

 この日際立ったのは、4回終了時点で4盗塁(5企図)を成功させた超積極的な走塁策だ。初回にリードオフマンの近本が相手バッテリーの意表を突く三盗を決めると、2回は熊谷が二盗に成功。3回には佐藤輝が二盗、4回には近本がこの日2個目となる盗塁で二塁を陥れた。相手先発のエース・隅田の攻略に手を焼いた中、スピード感あふれる攻撃が何度もチャンスを拡大させた。

 昨季はチーム全体で41盗塁。12球団中11位の盗塁数だったが、今季は59試合を消化した時点ですでに49盗塁をマークしている。しかも2位の中日(35盗塁)に大差をつけたリーグトップの数字だ。

 試合後の筒井壮外野守備走塁コーチ(50)は「まあ、勝たないとダメですけど」と前置きしながら「盗塁でバッテリーにしっかりプレッシャーをかけられていること自体はいい。できることは全力でやっていくのがチームのスタイルなので」。同コーチは2018年オフの矢野政権樹立以来、7シーズンもの長きにわたってチームの走塁改革に取り組み、近本(19、20、22~24年)や中野(21年)らの盗塁王タイトル獲得にも多大な貢献を果たしてきた若き名伯楽だ。

 チームでは失策数の多さが長く〝泣き所〟となってきたが、今季は12球団最少の22失策と堅守も際立つ。チーム防御率も同トップの2・05と驚異的な成績だ。ディフェンス面と走塁のあらゆるスタッツで他球団を圧倒する「球児流・超スモールベースボール」が体現できていると言っても過言ではないだろう。

 この日は左のエースリリーバー・桐敷が打ち込まれるショッキングな敗戦を喫したが、藤川監督は「こういう日はもちろんある。また明日ですよね。それだけです」と言葉の端々から余裕のようなものすらにじませた。

 新チームの輪郭が徐々に明確になってきただけに、快進撃はまだまだ続くことになりそうだ。