【赤ペン! 赤坂英一】 巨人のドラフト1位・石塚裕惺(19)が着実に成長しつつあるようだ。連日熱心に指導している川相昌弘二軍野手総合コーチ(60)が、手応えのほどを明かす。
「今はまだ粗削りな面もあるし、覚えなきゃいけないことも多い。でも、近い将来大きく羽ばたく可能性を秘めています」
 一番の魅力はやはり、高校通算26本塁打を記録した打撃力。「持ち前の強く振る力に加えて、状況に応じた打撃ができる“野球脳”がある」と川相コーチは強調する。
 その石塚、3月に練習試合の打席で左手首有鉤骨を骨折したが、手術を受けてから順調に回復。5月28日のロッテ二軍戦に「1番・遊撃」でスタメンに抜てきされると、第1打席でさっそくファーム初安打をマークした。しかし、川相コーチが目を見張ったのは、その次の2打席目だった。
「3回一死一塁で、石塚はカウント1―2から逆方向の右翼線へヒットを打ったんです。高卒1年目で、初めてプロのシーズンに参加したばかりのこの時期に、実戦であれだけの打撃ができるルーキーはなかなかいない」
 公称は182センチ、84キロだが、体重はすでに約10キロ増量して90キロ台。高卒遊撃手の先輩・坂本勇人の後継者も夢ではない。
 さらに、川相コーチが高く評価しているのは、石塚の内野守備に対する姿勢と意識の高さだ。川相コーチは昨年まで一軍で行っていた“板グラブ”を使用するハンドリングの練習を二軍でも継続。「宮崎キャンプ中、石塚はほぼ毎日、進んでこの練習に取り組んでいた」と川相コーチは言う。
「石塚は大柄な割によく動けるし、脚力があって足腰も強い。もちろん、高卒1年目だからまだ身につける必要があることもたくさんある。例えば短い距離で送球するショートスローも課題の一つ。それに、投手や他の野手とのチームプレーも覚えなければいけないぞと、しつこく、口酸っぱくして言っていますよ」
 そんな川相コーチの指導力を見込んでか、阿部監督はキャンプ前から「石塚はしつこい川相さんにお任せします」と明言。私が石塚に川相コーチの印象を聞くと、巨人ファンらしく「犠打の世界記録(533)と守備の名手ですね」と即答した。そうした結びつきが、徐々にだが、確かな成果をあげつつある。
 その川相コーチも高卒で巨人に入団した40年以上前、二軍で須藤豊、国松彰に育てられ、ショートのレギュラーの座をつかんだ。今度は自分が正遊撃手を育てる番だ。