価値ある勝利の裏に頼もしい姿があった――。ソフトバンクは20日の日本ハム戦(エスコン)に5―2の逆転勝ち。今季43試合目にして初めて「貯金」をつくった。5カード連続の勝ち越しで借金を完済し、勢いそのままに乗り込んだ北海道で鷹が強さを取り戻した。
序盤の劣勢をはね返す会心のゲームだった。5回に牧原大の2点打で追いつき、6回に10年目の川瀬が放ったプロ初アーチが試合を決め、大黒柱・モイネロも7回2失点の力投で開幕から無傷の5連勝。試合後の小久保監督は「(相手エースの伊藤が)ビシビシやったんでね。(5回の)ワンチャンスをモノにできるかというところでモノにできた。(6回は川瀬)晃があそこで打って、そのまま逃げ切れた」とヒーローをたたえた。
貯金を「1」とし、残りはちょうど100試合。頼もしい男も帰ってきた。絶対的リードオフマンの周東佑京内野手(29)だ。一軍復帰戦で快音こそ響かせられなかったが、選手会長の「声」がエスコンフィールドにこだました。
本人にぶつけると「聞こえましたか?」(周東)。劣勢の序盤、三塁側ベンチからチームを鼓舞する声が球場の反響音にかき消されることなく、一塁側最上段の記者席まで聞こえた。
「周東のあの声こそが、王イズム。主力の自覚」(古株の球団関係者)。試合後、チーム内で牧原大、川瀬、モイネロとともに評される周東の姿があった。「まずは僕らが声を出さないと。若い人たちに任せるんじゃなくて、まずは僕らが。それを見て若い人たちも。そう思ってます」。劣勢の展開でもベンチには活気があった。球界を代表する堅守に快足、開幕から20試合で30安打を放ち、得点圏打率4割5分を誇る打力だけじゃない。主力選手の行動規範を復帰初戦で示し、チームの士気を高めた。
この日はくしくも王貞治球団会長(85)の誕生日。王イズムを継承する選手会長の立ち振る舞いに、王会長もきっと目を細めているはずだ。












