【大下剛史・熱血球論】就任2年目の新井貴浩監督率いる広島で6年ぶりとなる優勝へのキーマンは誰か。あえて1人挙げるとするならば、私は遊撃のレギュラーを務めるであろう小園海斗(24)を推したい。

 オープン戦ではほとんどの試合で3番を打ち、チームトップの打率3割1分9厘、2本塁打、6打点と申し分のない姿を見せてくれた。何より私が感心したのは打撃はどうあれ、守備と走塁をおろそかにしなくなったことだ。

 複数安打で打点も稼いだある試合後、小園がメディアに聞かれるわけでもなく「それよりも守備が…」と自らの守備について反省したとの記事を見た。これに私は思わず「成長したな…」とヒザを打ったものだ。

 深掘りすると、彼自身が本当の意味でチームの勝利に重きを置ける選手になったということだと思う。近年の彼が「遊撃で評価されるためには?」と自問自答を繰り返し、出した答えは「勝てる遊撃手」こそ最も価値がある――。そのためには「打てる」「守れる」「走れる」の3つの要素が含まれる。どれか1つが欠けてもダメ。このメンタリティーで全試合に臨まない限り、プロの遊撃手として一本立ちなどあり得ない。そう悟ったからこそ、前出の発言が生まれたと感じる。

 思えば広島がリーグ優勝を果たした年には、必ず不動の遊撃手がいた。2016年から18年にかけて成し遂げた3連覇には田中広輔、その前の1991年の野村謙二郎しかりだ。走攻守に秀でた遊撃手が年間を通じてチームをけん引してこそ、悲願はかなえられる。球団史がそれを証明している。

 今季で6年目の24歳。高校時代から日本代表の遊撃手を務め、ドラフト1位で入団した逸材だけに持っている能力からすれば、少し時間を要した感はある。だが、それは言うまい。今年だけではなく、広島が新たな常勝時代を築けるか否は、小園次第だ。今年こそ新時代の〝元年〟にしてもらいたい。

(本紙専属評論家)