昨季までの上手投げから今季、新たにサイドスローへ転向した広島・塹江敦哉投手(27)が連日の好救援で評価を高めている。オープン戦初の連投となった10日の中日戦(マツダ)では7回一死一塁から4番手で前日9日に続いて連投し、打者2人をわずか5球で無安打に抑えてピシャリ。新井貴浩監督(47)も「素晴らしいピッチング!」と絶賛した。救援の専門職として、ただ腕を下げるだけなら決して珍しくはない。とはいえ、この日の投球にはサイドスロー転向と並行して身につけたオリジナル能力が凝縮されていた。

 最初の打者・大島にはプレートの三塁側を踏み、スライダーで泳がせて右飛。続く166センチの右の小兵・田中に対してはプレートの一塁側から投じると148キロ内角直球で詰まらせて一飛。対打者に応じてプレートの両サイドを使い分け、きっちりと料理した。

 塹江は「オフに練習して、どっちを踏むのも違和感がなくなった。打者によってとか、タイミングを外したいときとか。両方踏めたほうがいい」と現在は毎球ごとにプレートを踏む場所を使い分けていることを明かす。最速150キロ越えの直球にスライダー、シュート、チェンジアップと球種は決して多くないが、同じ球種でも異なる軌道で打者に見せるのが狙いだ。実際に投球ごとに踏む位置を変える自分でさえ、プレートの両端では打者への景色は「全然、違います」と異なるアングルで投げている感覚があり、地道な取り組みの手応えを口にする。

 これでオープン戦5試合で打者17人に対し被安打1、防御率0・00と完璧な火消しぶり。プロ10年目左腕は横幅約「60・9センチ」のプレートを目いっぱい使いこなし、左のリリーフのスペシャリストとしての道を開拓していく。