【柏原純一「烈眼」】連覇を狙う阪神はやはり他のセ5球団より頭ひとつ抜けた存在となりそうだ。豊富な投手陣と近本、大山、中野らレギュラー陣の大半が30代手前でまさに今が働き盛り。岡田彰布監督がよく言う「普通に」やれば、悪くてもAクラスは堅いだろう。

 改めて感心させられたのが「今」だけでなく「次代」の主力を担う面々も順調に伸びてきている点だ。11日に宜野座で行われた紅白戦では、2年目の森下翔太外野手が悪い意味で気になっていた。昨年の好調時とはスイング軌道が異なり、練習時から上半身に頼った強引なしゃくり上げるようなスイング。もちろん、何らかの意図があっての取り組みだろうが、案の定、試合では1安打こそ放ったものの内容は良くなかった。

 捉えた打球は三塁方向のファウルばかりで、芯を食ってもドライブ回転がかかっていた。本来の右中間へ一直線に伸びていく、右手の押し込みがきいた当たりが出る気配が全く感じられない。

 打者は変なクセがつくと元に戻すのも、相応の時間がかかる。私が紅白戦後、岡田監督のもとを訪れ、森下について聞くと「良くないですよねえ。あれじゃ、ナンボやったって打てっこないですよ」とやれやれといった表情で苦笑い。岡田監督も彼の技術的な問題を把握し、私が「言わないのか?」と聞こうとした矢先、監督のほうから「でも、柏原さん…」と切り出した。

「別にいいんですよ。ダメなら、使わなければいいだけですから。本人はどう思っているか知らんですし、周りは森下のことをレギュラーと思っているみたいですけど、少なくとも僕は森下はレギュラーと思ってませんから」

 そうキッパリと言い切るとこう続けた。「他にナンボでもいますし。前川、いいスイングしてるでしょ? 森下がダメなら前川でいけばエエやないすか。ちょっとケガが多いのが気になるんですけど。ライトで使えますよ」。くしくも同じ紅白戦で3年目の左打者・前川右京は4打数4安打。その日だけを言えば、明らかに前川の内容のほうが好印象だった。

 昨季は18年ぶりの優勝に、38年ぶりの日本一。勝ち切ったことにより、チームがさらに洗練され「大人のチーム」になった印象だ。指導者が選手にアレコレ注文をつけなくても、選手側がその時々で「何をすべきか」を理解して動いている。逆を言えば、求められた働きをできなければ競争から脱落するのみ。だからこそ岡田監督は森下に限らず、誰であっても今は何も言わないのだと思う。

 チーム内の競争レベルがさらに上がった阪神。今のところ連覇への死角は見当たらない。

(野球評論家)