【元局アナ青池奈津子のメジャー通信・特別編(2)】昨季まで投打二刀流で世界中のファンを魅了してきたドジャース・大谷翔平投手(29)。そこで現役メジャーリーガーたちに「大谷のフィーチャー(特性)を1つ取り入れることができるとしたら何がいいか?」との〝アンケート〟を試みた。回答してくれた138人のうち野手が約60%、投手が約35%、OBが約5%といったところだろうか。その答えを分析してみると「打者だから投げてみたい」「投手だから打ってみたい」といった単純な話でもなく――。

 メジャー19年のキャリアを誇る43歳のベテラン左腕リッチ・ヒルは「彼の打撃能力。二刀流をやりたいかって? 100%!」とし「162試合をプレーするために、どれだけのことをしなければならないか分からないが、リトルリーグに戻ったみたいで、とても楽しそうだ」と笑顔で回答した。

 さらに、通算420セーブをマークしたケンリー・ジャンセンも「自分はひどいバッターだったから、彼ほど打てるようになって二刀流をやりたい」と答えたように、単純に「打つ能力」を求めるケースもあった。

 また、打撃は打撃でも大谷の規格外の「パワー」を挙げる声も少なくなかった。フィリーズの通算87勝右腕ザック・ウィーラーは「彼のパワー。コロラドのオールスター戦で彼の打撃練習を見ていたんだけど、彼のバットから飛び出る球は全て高めで遠くまで飛ぶ。彼だけ全く違う種類のボールが飛び出しているみたいだった」。

 右の大砲トレイ・マンシーニも「彼ほどのパワーを見たことがない。自分にもあったらいいなって憧れる」とゾッコンだ。大腸がんを克服したトレイは2021年のホームランダービーで2位になるほどの〝飛ばし屋〟なのに「ショウヘイのは違うんだよ。たとえ当たり損ねでも人より飛ばしたりする」と力説した。

 名三塁手のマット・チャプマンや今季からドジャースで同僚となる捕手のオースティン・バーンズらも「もっとホームランを打ちたい」と〝パワー推し〟。やはり、本塁打は野球の花形なのだろう。実際、今回の回答でも打撃に関する「パワー」を挙げた選手が最も多く、全体の25%に迫る「33人」だった。

 なお「打つ能力」を挙げた「18人」のほとんどが投手だ。ヤンキースのエース、ゲリット・コールや〝奪三振マシン〟スペンサー・ストライダーなど13人が「二刀流をやりたい!」と興奮気味に答えた一方、通算130勝右腕のチャーリー・モートンと左腕のパトリック・コービンの2人だけは断固「NO!」。その理由をチャーリーは「二刀流の仕事量だけはうらやましいと思えない。もう年だし、ブルペンで投げてトレーニングをしたら、いつもげっそりだから無理」と明かし、本気で首を振っていた。

ヤンキースの看板選手アーロン・ジャッジ
ヤンキースの看板選手アーロン・ジャッジ

 打撃系の回答の中でひと味違ったのがメジャーを代表する大砲アーロン・ジャッジと、今季から大谷とチームメートとなるフレディ・フリーマンだった。

「左打者の能力。特にヤンキー・スタジアムで左だったらいいよね」(アーロン)。同球場の右翼は314フィート(約95・7メートル)で左翼の318フィート(約96・9メートル)よりも狭い。「自分のパワーをキープしつつ、左で打てたら少し距離が短いライトスタンドにあと数本ホームランをねじ込めるはず」。ヤンキースの生え抜きキャプテンで、62本塁打のア・リーグ記録を持つ彼ならではの答えだと思った。

 フレディが挙げたのは「反対方向へ打つパワー」だ。「なんで反対なのにあんなに飛ぶんだ」「引っかけてホームランになるのが信じられない」「どこへでも飛ばせるパワーが本当にすごい」。実は取材中に他の選手からよく聞く言葉なのだが、メジャー14年で321本塁打のフレディが口にするといっそう合点がいく。

 ところでこのフレディ、7歳になる息子のチャーリー君をよくドジャー・スタジアムへ連れてくる。話を聞いた時も一緒にいて、フレディは「チャーリーはショウヘイの大ファンなんだよ」という。せっかくなのでチャーリー君にも聞いてみると、パパの太ももに抱きつきながら「全部」とはにかんだ。

 2歳からバットを振り、年上の少年野球チームに所属するチャーリー君。大好きな大谷にドジャー・スタジアムでもう会えただろうか。