阪神・坂本誠志郎捕手が10日に兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4200万円増の年俸7000万円でサイン。「しっかり評価していただいた。家族に恩返ししたい」と大幅増俸に笑顔を見せた。

 今季は自己最多の84試合に出場し、チームの日本一に大きく貢献。長く正妻・梅野の〝2番手〟的な立ち位置に甘んじていた背番号12にとって、大きな飛躍の一年となった。天下一品と評されるフレーミング技術に加え、打者心理を巧みに読み取るリードも投手陣から厚い信頼を集めている。

 日頃はクールな態度を貫く坂本が、珍しくヘベレケ顔で相好を崩したのは、日本一決定直後に行われたビールかけ。岡田監督の頭上に美酒を注ぎながら「勝ち方を一番知っている監督ですから! ついていってよかったです! ありがとうございます! ホンマの一番です!」と絶叫し、指揮官と抱擁をかわした。頭脳明晰な坂本だからこそ、球界随一の知将・岡田監督との出会いは大きかったのかもしれない。

ビールかけで岡田監督(右)に突撃した阪神・坂本
ビールかけで岡田監督(右)に突撃した阪神・坂本

 この日の会見で、改めて岡田監督への印象を問われた坂本は、しばらく考え込んだ後「見えないものが見える。そういう力というか…。そういうものを察知して、自分の中で考えを巡らせて答えを出される方。そこが今年1年監督と野球をさせていただいて感じた一番のすごさです」と語る。

〝見えないもの〟とはゲームの流れのようなものか?と聞かれた坂本は「そうですね。流れであったり、先読みして次にこういうことが起きそうだから、そこに布石を打っておこうとか、何か(手駒を)残しておこうとか、あえてそれを使わなかったりだとか。1試合、1カード、1か月、1年。いろんな単位で〝見えないもの〟を考えながら、見えるようにして結果につなげている。すごい勉強しながら野球をさせていただいた」と一つひとつ言葉を丁寧に選びながら答えた。

 扇の要に位置する捕手は〝フィールド上の監督〟と呼ばれることもあるほど、さまざまなマネジメント能力が問われる。「僕もポジション柄、見えないものを考えたりする。そこはすごく勉強になりました。自分の考えと監督の考えはどう違うかとか、監督の考えはこうじゃないかと考えながら自分も考えてみるとか。そういう楽しさもありました。いい意味で勉強する時間をたくさんいただいた。自分の引き出しや幅が広がったのは、監督の影響が大きいと思います」

 詰め将棋にも例えられる緻密な采配で、チームを何度も勝利に導いてきた岡田監督。高度な野球偏差値の持ち主である坂本だからこそ、老将の〝棋力〟には魅力を感じているようだ。(金額は推定)