38年ぶりの日本一を果たした阪神でシーズンから先発陣の一角を担ったのが大竹耕太郎投手(28)だ。ソフトバンクから現役ドラフトで加入した6年目左腕は崖っぷちからチームトップの12勝を挙げて大ブレーク。日本シリーズでも第5戦で5回1失点の力投を見せて勝利を呼び込んだ。そんな苦労人が今季全試合でバッテリーを組んだ坂本誠志郎捕手(29)、早大の大先輩である岡田彰布監督(65)への熱き思いをつづった独占手記を寄せた。

第7戦終了後、中野(手前)らと喜びを分かち合った阪神・大竹
第7戦終了後、中野(手前)らと喜びを分かち合った阪神・大竹

 日本シリーズはソフトバンク時代の2018年に一度経験しましたが、先発した2日の第5戦は、自分の中でも全く意味合いの違うものでした。

 大事な1試合を任され、何とかその期待に応えたい。緊張もありましたが、それを上回る充実感がありました。どういう状態でも試合をつくるとか、失点を最小限にして粘るとか。それだけは絶対に最後までやり抜こうと。登板前からそこだけはブレずに、と思って臨みました。先制を許し、5回1失点とリードされた状態で降板となりましたが、今持っている自分の力は出すことができたのではないかと思っています。

 阪神入団の1年目から日本一という最高の経験をさせてもらい、仲間への感謝は尽きません。

 中でも公式戦、ポストシーズンと全試合でバッテリーを組んだ坂本さんとの出会いは、自分にとってもすごく大きなものとなりました。

 投手としての自分は、性格的に疑いや不安がある中で投げた球は「打たれる」と思い込む傾向があり、どちらかといえば、自分が信じた球を「正しい」と思って投げたいタイプ。1年間を通じ試合中のベンチでは、根気強くコミュニケーションをとり続けてくれました。

 試合中は、だいたい僕から「次の回、こう投げたいんですけど、どう思いますか?」と配球に関する問いかけをして。それに坂本さんが応じてくださり、いろいろな視点を踏まえ、リードを考えてくれました。常に2人で配球を模索しながら目の前の回を迎えることができたことは、とても心強いものでした。今季は自分でも投球の幅が広がったなと思います。これまでで一番、捕手としゃべったシーズンになりました。

ビールかけで集中砲火に遭う阪神・大竹
ビールかけで集中砲火に遭う阪神・大竹

 もう一人は岡田監督です。早大の大先輩でもあり、本当に一人ひとりを見てくださる監督だと思います。コミュニケーションこそじかにはとらないですが、自分のことを見てもらえている感覚は常にありました。他の選手もそうだと思いますが、練習や試合で自分しか気づいていないようなちょっとした調子の良しあしも、しっかり見てくださっている。ここ2、3年は、そういうものを全く感じることができないシーズンを送りましたし、常に背中を押してもらえている感覚がありました。

 思い出されるのが2月のキャンプです。監督さんはミーティングで「選手全員、どうにか稼げるように。絶対できるから」と。僕はまだ阪神に入団したばかりで、まだ1球も貢献できていない2月の最初にその話をしてくださり「自分もいけるんじゃないか」といい意味での〝勘違い〟させてもらい、その信頼に応えたいと思って、ここまで必死に腕を振ってきました。結果的に初めて年間を通じ、先発として働くことができた経験は今後の野球人生に大きな財産となりました。

 来年以降も飛躍のきっかけを与えてくださった監督の信頼に応えられるよう、さらに精進を重ねていけたらと思っています。1年間、応援ありがとうございました。(阪神タイガース投手)