【取材の裏側 現場ノート】ポストシーズンを最後まで戦い抜いたこともあり、今年の阪神秋季キャンプは例年になく短かく感じられた。

 岡田彰布監督(65)がキャンプ地の高知・安芸に滞在したのは、オフの日を含めてもたったの10日間。「せっかく日本一になって頑張った結果やしな。まだ余韻に浸りたいんよ。そのためにやってるようなもんやから」。シーズン中にピリピリと漂わせていた緊張感はどこへやら。悲願中の悲願だった38年ぶりの日本一に輝いた直後とあり、終始リラックスした表情で若手選手たちの鍛錬を見守っていた。

 恒例の監督囲みだけでなく、手持ちぶさたになった練習の合間などでも雑談に応じてくれることが多かった。「オマエんとこ大スポ(東スポ)やったらな」と話題は岡田監督が好むプロレス話に。「黒い呪術師」として一世を風靡した名ヒール、アブドーラ・ザ・ブッチャーと岡田監督は交流も深かった。身長190センチ超の阪神の後輩・金子誠一さんのため、ジャイアント馬場さんからゴルフクラブを譲り受けたこともあったという。「そらもう特注もんやろな。長い長い。36インチくらいあったよ」と振り返る。

「ああ、あとはシークの乱入未遂事件やな」。〝アラビアの怪人〟の二つ名で知られた、ザ・シークともちょっとした思い出があるという。

極悪ヒールレスラーのザ・シーク(1992年)
極悪ヒールレスラーのザ・シーク(1992年)

「サイン会かなんかがあってな。東プリに泊まっとったんや。そしたらオマエ朝7時くらいにな、部屋のドアをドンドンドンドンたたくヤツがおったんや。何やと思ってレンズをのぞいたら、パンツ1枚はいたシークやった(笑い)。ビックリしたわ。おお、もう。あれドア開けたらどうなってたんやろな。大変やったで。部屋間違えたと気付いて横の部屋にスーっと消えてったけどな」。岡田監督鉄板の〝すべらない話〟で、虎番一同大笑いさせてもらった。

 本業の野球だけでなく、プライベートでも数々の〝修羅場〟をくぐり抜けてきた百戦錬磨の歴将。重厚感あふれる冷静沈着なタクトと強烈なリーダーシップは、こうやって鍛え上げられてきたのだなと改めて納得することができた。