【グラゼニ球論・金村暁】阪神は19日に秋季キャンプ(高知・安芸)の全日程を終了。高卒1年目ながら抜群のアピールに成功した門別や、支配下復帰に大きく近づいた川原など、この秋も多くの若手投手たちが存在感を発揮してくれました。

 将来有望な選手がひしめく阪神投手陣ですが、そんな中でも私が来季の「ネクストブレーク候補」として名前を挙げたいのが大卒2年目右腕・岡留英貴投手(24)です。今季はこれまでの課題だった制球力が大きく改善した上に、一軍に定着できたことで精神的にも大きな自信を身につけることができたと思っています。来季はブルペン陣の主力投手として、バリバリにフル回転してくれるのではないでしょうか。

 圧巻だったのが、CSファイナルステージを目前に控え、実戦勘を維持するために参戦した「みやざきフェニックス・リーグ」楽天戦(10月11日、サンマリン)での投球です。この試合でテレビ解説を務めていた私は、試合前に阪神投手陣のもとへあいさつに行ったのですが、その時選手たちが口々に「今ウチで一番状態がいい投手は岡留ですよ。あれは絶対に打てません」と教えてくれたことを覚えています。

 岡留はこの一戦で自己最速となる152キロの直球をマークし1回無失点。同15日の日本ハム戦(SOKKEN)ではさらにそれを更新する155キロを記録し、日本シリーズのベンチ入りメンバーの座をつかむことに成功しました。

 日本シリーズ唯一の出番となった第2戦(同29日、京セラ)では力みも出てしまい1回途中を2安打1四球3失点。自身の力を発揮することはできませんでしたが、質量豊富な阪神の中継ぎ陣において登板機会を与えてもらえただけでも、ベンチからの期待が伝わってきました。岡田監督も来季以降のことを見据えて、岡留に貴重な経験を積ませようとしたのではないでしょうか。

 今季の岡留はベンチから外れる〝アガリ〟の日が多く、調整にも苦労したと思います。登板間隔が空く中、集中力を切らすことなくコンディションを維持することができたこの1年は、彼の未来にとって大きな糧となるでしょう。球の力強さと体のタフさはもともと一級品。来季は飛躍のシーズンとなるはずです。(本紙評論家)