阪神・森下翔太外野手(23)が27日の中日戦(甲子園)に「3番・右翼」で先発出場し4打数2安打。ここ数試合の打撃不振で、岡田監督から「危機感がない。ただバットを振っているだけ」と苦言を呈されたが、この日はしっかりと結果を残した。入団1年目から中軸を任される虎の背番号1を、本紙評論家の伊勢孝夫氏は「阪神の選手としては珍しいニュータイプ」であると高く評価。球団史上2度目となる日本一を目指すポストシーズンの打のキーマンは、森下と佐藤輝であるとの見解を示した。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】ここ数試合、岡田監督がずいぶんと森下に対して手厳しいコメントをしていたようだが、そこは老練な岡田監督のこと。森下の性格をしっかりと把握した上でのことだろう。彼は周囲から何を言われようとシュンと下を向くようなタイプではない。3週間後から始まるCSへ、活躍を期待しているからこそのゲキだ。

 かくいう私も開幕当初、打率1割台で苦しんでいた森下を見て「一軍で通用するようになるのは、もう数年先になるかな」と思っていた。案の定、4月以降は複数回の二軍降格。だが、彼に対する私の見方はその後、大きく変わることになった。

 6月下旬に一軍に再復帰した彼の姿を目にし、思わずうなってしまった。課題だった直球への対応がファームでしっかりと修正されていた上に、初球からしっかりバットを振り切れている。鳴り物入りで入団した注目のルーキーといえども、一度ファームへ落とされてしまうと「早く結果を残さないと」とおじけづいてしまい、自然とバッティングが萎縮してしまうものだ。ところが、彼にはそのような雰囲気が一切ない。前の打席でみじめな三振をしても、次の打席ではやはり初球から強く振れる。並の新人ではない。腹が据わっている。

 老舗人気球団・阪神は何かと周囲がやかましいこともあり、どちらかというと保守的、優等生的な態度を保つ選手が伝統的に多かった。そういう意味で森下、佐藤輝の存在は異色だ。監督、コーチから何を言われようと「自分には自分のスタイルがある」と自身を貫くことができる姿は見ているだけで痛快。阪神新時代の象徴だ。

 直球に振り負けすることなく、相手バッテリーに恐怖と重圧を与えられる森下と佐藤輝こそがポストシーズンのキーマンだ。3番と5番の両者が機能してこそ、4番に座る大山の持ち味も生きてくることだろう。

(本紙評論家)