【柏原純一「烈眼」】首位・阪神に死角は見当たらない。今季最長の10連勝を飾った13日のヤクルト戦を見て、改めてそう感じさせられた。

 3日からの10連勝も、特に誰かが絶好調だったわけでもなく、連勝の内訳も9試合が3点差以内の接戦を制したもの。チームとして打線が勝負どころで機能し続けている証しだろう。

 阪神の快進撃が本格化したのは球宴明け。もちろん、このタイミングから復帰した不動の1番・近本の存在が大きいことは言うまでもない。しかし、7月25日の巨人戦から1番・近本、2番・中野、3番・森下、4番・大山とオーダーが不動であることを踏まえると、3番に定着したドラフト1位新人・森下翔太外野手(23)の働きも見逃せない。打率2割2分8厘で26打点、4本塁打と、そこまで目立った数字を残しているわけではなく、得点圏打率も2割5分。それでも岡田監督は「いいところで打つ」と再三、指摘している。

 森下を見ていると、打撃ばかりでなく守備や走塁でも〝雰囲気〟を感じる。14日のヤクルト戦では4回のピンチで武岡の右翼へのヒットになりそうなライナー性の打球を、抜群の反応でスライディングキャッチした。彼のプレーや走る姿には、とにかく躍動感を感じることが多い。こういったものは通常、見ているファンが感じ、そのスケール感に感銘を受けるなり、盛り上がるなりするが、ベンチで戦況を見守る同僚ナインにもいい波及効果をもたらしているように感じる。外野手の一角を争う25歳の小野寺が同じ日に2安打2打点と気を吐いたのは、まさにその好例だろう。

ダイナミックのプレーが魅力の森下
ダイナミックのプレーが魅力の森下

 森下はプロ1年目ながら失敗を恐れず、首位を走るチームでプレーする重圧よりも、とにかく自分の良さを出すことに集中し、チームの流れを呼び寄せる〝インパクト・プレーヤー〟になっている。他の選手が「俺も、俺も」と続くことで、さらにチーム力を引き上げているように映った。

 いい悪いではなく、これまで阪神には寡黙に黙々とプレーする〝おとなしい選手〟が多かった。攻守に積極的で喜怒哀楽がある森下のプレースタイルは、チームに〝新しい風〟を吹かせている。(野球評論家)