淡々とした言葉には「おかわり君」なりの理由が隠されている。西武・中村剛也内野手(40)が6日のオリックス戦(ほっともっと)で1試合2発を放ち4―3の勝利に貢献。チームは首位相手に2連勝を飾り、最下位を脱した。

 1点リードの4回に中村は相手2番手・本田から左翼へ14号ソロを放つと、さらに3点リードの8回にも4番手・比嘉から左翼席中段へ15号ソロを突き刺した。これで1試合2発以上のマルチ本塁打は44度目。40代での1試合2発は球団初となった。

 そんな偉業にも中村本人は「(14号はバットに)当たったので良かったです。(15号は)甘い球が来たので本当に打てて良かったです」と振り返った。実際のところは表現力豊かに打撃に関する理論を語ることができるものの、メディア対応において感情の起伏を表すケースはほとんどない。そこには「常に普通でいること」を探求し続けてきた〝中村流〟の打撃哲学がある。

「普通でいることが一番難しい」という当人にとっては凡退しようが、あるいはこの打席のように本塁打を打つなど好結果を出そうが、一切関係ない。全てを平常心にして一度消去しなければ、次の打席での反応に悪影響を及ぼす。力感のない構えからトップを作って振り出し、インパクトへつながる力の入れ加減がおかわり流バッティングの〝生命線〟となっているからだ。

 ボールの下半分にバットの芯を入れ、バックスピンを掛けることだけに集中する大打者・中村の独自のこだわり。それが「打ててよかったです」とのそっけない言葉につながった。

 あと31本でNPB史上9人目の500本塁打を達成する中村はこのまま泰然自若を貫き通すつもりだ。