【鈴木平 超二流~花の咲きどき~(28)】1996年に念願の神戸のファンの前でのリーグ優勝、日本シリーズ制覇という目標を達成することができました。

 守護神という立場で臨んだ日本シリーズでは第1戦の9回に同点2ランを浴びるなどしましたが、結果的には1勝3セーブ。シリーズ記録の4セーブポイントでもMVPとはならずとも、責任を果たしたという達成感はありました。

 前回、あまり触れられなかったので巨人・落合博満さんとの対戦について少し書かせてもらいます。

 落合さんといえば80年代なかばに3冠王を獲得された時代が全盛期だとは思います。僕が対戦した96年は42歳から43歳になるシーズンでした。もう、それはだいぶベテランというイメージでした。

 
さらに、故障明けということで、何とか日本シリーズに合わせて戻ってきたという状態だったそうです。

 ミーティングで山田久志投手コーチは「ロング(長打)はないよ。たとえ塁に出たって各駅停車だから。大丈夫だ」というように言ってくれていました。これは僕にプレッシャーがかからないようにしてくれた意味合いもあったと思います。

 ただ、実際に真剣勝負の場で落合さんを打席に迎えると、むちゃくちゃ雰囲気ありましたよ。実際、あのシリーズで僕はいずれも落合さんの打席から登板しているんです。

 第1戦は2点リードの8回です。先頭の落合さんには軽くライト前ヒットを打たれています。

 山田さんは「大丈夫」とか言っていたけどウソじゃん! めちゃくちゃ打ちそうじゃん。違うじゃんと内心、思ってしまいますよね。

 だって、こっちは自信満々で投げ込んでますからね。だけど、それを簡単に打ち返されると不安にはなります。

 ただ、続くシェーン・マックを三振。さらに清水隆行を二ゴロ併殺に仕留めることができました。自分のボールの軌道と、清水のスイング軌道ではゴロになる確率が高い。その通りに投げられて落ち着きを取り戻しましたね。

 第2戦は2点リードの9回二死一塁で落合さんを迎えたところで登板し三ゴロ。第3戦は3点リードの9回に登板。先頭の落合さんを三振に打ち取るなど1回無失点でした。

 第5戦は3点リードの8回無死二、三塁からの登板です。ここで落合さんを一邪飛。代打・大森さんを三振、清水を一ゴロに抑えてピンチを脱することに成功しました。

 95、96年と連覇してさらなる発展も望めたかもしれません。ここから仰木監督は新しく3年契約を結ばれたはずです。優勝こそ逃しましたが就任から99年までAクラスで居続けてました。ただ、日本一の直後に山田投手コーチが退団しているんです。

 チーム内がゴタゴタしていた雰囲気はありましたね。ベテラン選手の流出があったり、いろんなことが起きました。2021年まで優勝できないとは思ってなかったですけどね。