巨人の戸郷翔征投手(23)が3日のヤクルト戦(東京ドーム)に先発し、9回1失点と大熱投。自己最多の149球を投げぬくとチームも2―1で勝利し、リーグ単独トップ&2年連続2桁勝利となる10勝目を挙げた。気迫のこもった投球で勝利に大きく貢献した若きエースだが、快投の原動力には「シベリアの悲話」があったようだ。
エースの風格だ。戸郷は序盤からテンポのいい投球でスコアボードに0を並べ続けると、5回には一死二塁からオスナに同点適時打を浴びながらもなんとか最少失点で抑えることに成功。8回に岡本和のこの日2本目となる26号ソロで勝ち越し点をもらうと、ここまで既に126球を投じていた右腕は「ラストもいかせてください」と志願の続投で9回のマウンドにも上がった。
それでも球速は150キロ超と衰えず、無死一、二塁のピンチを招きながらも後続をしっかり打ち取ってゲームセット。試合後には「(二桁勝利は)格別ですね。もっともっと上を目指せるように頑張っていきたいなと思います」と感慨深げな様子。原監督も「もう徐々にリーダーの意識をしっかり持ってやってくれている。チームの中で非常にいいお手本になっている感じはしますね」と絶賛した。
23歳にして投手陣の大黒柱となっている戸郷。夏本番を迎えても「野球が楽しくて、疲れやストレスも特に感じない」とケロリとしているが、その原動力は意外な部分にあった。
普段から息抜きとして映画鑑賞をするという右腕。「戦争に関する映画とか、歴史を学べるノンフィクション映画が好きでよく見ます」と明かすが、中でも最近感銘を受けた作品が、第二次大戦後にシベリアの強制収容所で過酷な生活を強いられる日本人捕虜を描いた映画「ラーゲリより愛を込めて」だ。
「良かったなぁ…もう1回見たいもんなぁ…。そういう映画を見ることでいろいろなものにつなげたりはしていますし、(作中のセリフなどから)『たしかにな』と思うこともある。野球ができる喜びもまた感じられますしね」と自身の人生観に大きな影響を与えたようだった。
野球ができることは決して当たり前ではない――。新たに芽生えた価値観が、若き右腕を大きく突き動かしている。












