本来の自分を取り戻すためには〝捨てる勇気〟を――。2位DeNAとの13日の首位攻防第3ラウンド(甲子園)に0―4と完敗した阪神で、勝敗とは別に心配なのが5番を打つ佐藤輝明(24)だ。5日の一軍昇格後も7試合で26打数3安打、打率1割3分6厘で0打点。苦悩が続く和製大砲に、球団OBで野球評論家の柏原純一氏(71)が打開策を直言した。
【柏原純一「烈眼」】もちろん1本出ないよりは出るに越したことはない。4点を追う8回一死一、二塁から伊勢のフォークに食らいつき右前打でつないでみせた。一塁で何度も手を叩いたように、今は何よりも結果が欲しいという思いが、見ているこちらにも伝わってきた。
この1本で満足できないことは本人も理解しているだろう。4回、6回の2度の好機で凡退し、最初の3打席は音なし。結果以上に同じような内容で打ち取られたことが気がかりだ。
凡退した3打席は全て初球に手を出した。2回と4回は左腕石田のスライダーに近い曲がり幅のカットボール、6回は右腕森原のフォーク。2回はファウルで、後の2打席は空振り。共通して言えるのは初球の変化球にタイミングが取れていなかったことだ。直球待ちで外されたというのでもない。6回に森原の150キロに空振り三振したのをはじめ、直球に複数回スイングするも、一度も前に弾き返すことなく終わった。
端的に言うと「何とかしたい」「どんな形でも打ちたい」といった心理状態が、打席での余裕のなさに表れているように思えてならない。気持ちは痛いほど分かる。
ただ、だからと言って初球から相手投手の全ての球種に対応しようとすれば、余計に敵の術中にはまってしまうだけ。打者は1打席で最低2球は投手の球を見送れる。状態が思わしくないときほど、アレもコレもとならず、狙い球、コース、打球の方向性など、追い込まれるまでは絞りに絞るべき。想定外の球が来たら、たとえバットが届くコースでも絶対に手を出さない。これが徹底できれば、少なくとも狙い球をミスショットする確率は低くなる。仮に凡退しても、首脳陣には結果とは別にその場面で何を意図し、打席でどんな工夫をしたかは伝わるものだ。こういうときほど、より自分を俯瞰(ふかん)した形で打席に立つよう心掛けてほしい。
打者は10回打席に立ったとして7回凡退しても「一流」と呼ばれる。腹をくくり〝捨てる勇気〟を持って現状を打破してほしい。言うは易く行うは難しだが、大事なのは「意図を感じる打席」を積み重ねていくこと。辛抱強く起用を続けている岡田監督も、最後はそこを見るような気がしている。
(野球評論家)












