転機の裏には――。4日の新日本プロレス大阪城ホール大会で、IWGP世界ヘビー級王者のSANADA(35)が辻陽太(29)の挑戦を退け2度目の防衛に成功した。「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)」脱退からの「Just 5 Guys(J5G)」加入後は破竹の快進撃。団体のトップとしての地位を固めつつある。その意識を変えたのは、親交のある俳優・坂上忍(56)から授かった〝金言〟だ。

 若き怪物の猛攻に苦しめられた。序盤に強引なスピアーを浴びたSANADAは、まさかのブエロ・デ・アギラ(変型トぺ)で主導権を奪われる。それでもスピアーをカウンターのドロップキックで迎撃して反撃に転じるや、月面水爆からシャイニングウィザードを発射。最後はデッドフォール(変型DDT)で3カウントを奪い、「今年のG1(7月15日、札幌で開幕)はSANADAが優勝して、チャレンジャーを指名させていただきます」。2000年の佐々木健介以来となるIWGP王者での祭典制覇を誓った。

 5月3日福岡大会の初防衛戦では高橋ヒロム、そしてこの日は辻と、古巣でもある日本一の人気者ユニット「LIJ」を相手にした防衛ロードは逆風続きだった。とりわけ凱旋帰国初戦がIWGP世界王座戦となった辻にはファンの期待が集中し、会場は「陽太コール」で埋め尽くされた。

J5Gの面々に祝福されるSANADA
J5Gの面々に祝福されるSANADA

 しかし、そんな状況だからこそ、SANADAの真価が問われていた。昨年から続いていたスランプから抜け出すべく、今年3月にJ5Gに加入する一大転機を迎えた。実はこの時に背中を押されたのが、親交のある坂上からのひと言だった。

 愛犬家のSANADAは、動物保護ハウス「さかがみ家」を運営する坂上の活動に感銘を受け、昨春に共通の知人を介して交流がスタート。LIJを脱退する3月の内藤哲也戦(後楽園)の直前には、食事をともにする機会があったという。

「トップにいけなくて悩んでた時期で。それを周りの人がうまく説明してくれた時に、坂上さんが『僕なんかが言える立場じゃないけど、どの業界でも、嫌われる勇気を持った方が仕事はうまくいく』と。すごく響きましたね。坂上さんも盛り上げるためにそういう覚悟で番組をやられてたのかもしれないなって。何をやるにしても、その覚悟がないと現状を打破できないんだなと思いました」

SANADAと親交がある坂上忍
SANADAと親交がある坂上忍

 実際にLIJを抜けた際には、一部ファンから批判の声も耳に届いた。それでもSANADAは「(以前は)その勇気がなかったからどこかで人の顔色をうかがって、自分の本当のカラーが出せなくなってたなって。嫌われるって、チャンスだしうれしいことなんですよね。気にしてくれてるってことだから。好きか嫌いでいいんです。無関心が一番切ないんで」ときっぱり。迷いを捨て、自分を貫き続けることが奏功し、リング上の結果に結びついている。

 次期防衛戦は未定だが「いつでも、チャンピオンですから戦う準備はできております」。開眼したSANADAが、これからも新日マットの中心に君臨する。