巨人のオコエ瑠偉外野手(25)が開幕一軍を勝ち取った。昨オフに行われた現役ドラフトで楽天から巨人に移籍。紆余曲折を経て新たなスタートラインへと立ったニュースター候補だが、プロ入り8年目を迎えた今もなお、その隠れた「素顔」は幼いころから変わっていなかった――。

 ついに開幕一軍の切符をつかんだ。高いポテンシャルを評価され、2016年のドラフト1位で楽天に入団したが、なかなかその芽を咲かせることはできず…。昨季終了後には「正直、(楽天時代に受けた)すごい批判というか、世の中(の反応)にだいぶメンタル的に食らっていたので、(気持ちは)完全に折れていた」と一度は引退も決意したほどだったが、昨年オフに行われた現役ドラフトで新天地・巨人へと移籍。野球ができる喜びを胸に抱きながら、開幕一軍スタートを目標にしてここまでがむしゃらに突っ走ってきた。

 その努力は報われ、オープン戦では主に1番打者として15試合に出場し、打率3割1分とアピールに成功。原監督も「少々死球を食らっても、やっぱりファイターですよね。そこはウチにはいなかったタイプの選手ですよね。顔を売ってくれればいいよね」と称賛と期待の思いを明かしていた。

 ようやくつかんだ再起への道。ただ、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。オコエが中学時代に所属していた東村山シニアでコーチとして指導していた内山繁さんは、当時の素顔をこう明かした。

「オコエは他人の悪口は絶対に言わない子だった。つらい経験をしてきたからこそ、嫌なことは他人にしない。本当に仲間や家族思いな男の子なんですよ」

 今でこそ価値観は変わってきたものの、当時はハーフの子であるオコエ少年を奇異な目で見たり、心ない言葉を浴びせる人間も少なくはなかった。オコエ自身もSNS上で「毎日がつらすぎた」と壮絶な過去を振り返ったこともあった。それでも、大人になった今も関係が続くほどの大事な仲間に恵まれたという。

「少年野球時代からの仲良し5人組がいて、彼らがオコエを周囲の声から守ってあげていた。結果的にその5人で、強い時代の東村山シニアに上がってきてくれましたから。5人組は巨人に移籍が決まってからも集まって食事をしていましたね。だから彼は支えてくれる人の大切さが誰よりも分かるし、良い人に恵まれるんだと思います」

 巨人に入ってからもその人柄は変わらず、先輩からはかわいがられ、後輩からは時にイジられたりもするなど、すっかりチームに溶け込んでいる。「人懐っこくて、愛すべきキャラクターも変わってないです。こちら側としても、成功すれば喜ぶし、ダメだったら励ますだけ。陰から応援し続けます」

 周囲の仲間の支えを大切にして歩んできた野球人生。一度は心が折れかけたが、「野球の神様」はその姿を見捨てることはなかったようだ。