巨人が7年越しの念願を成就させた。日本野球機構(NPB)は9日、移籍活性化を目指して導入された「現役ドラフト」を開催。巨人は楽天からオコエ瑠偉外野手(25)を獲得した。

 巨人とオコエのラブストーリーは、7年前に遡る。第2次原政権が終幕した直後の2015年オフに開かれたドラフト会議で、巨人は立命大の桜井俊貴(今オフ戦力外=引退)を指名した。ただ球団内の評価が高く、直前まで絶対的な1位候補だったのは関東第一のオコエだった。

「オコエがなんとしても欲しいんだよ」。世間が夏の高校野球に沸いていたころ、巨人首脳の視線は、抜群の身体能力を爆発させて甲子園で躍動する1人の高校生野手に集中していた。

 山下哲治スカウト部長(当時)は「オコエは甲子園で評価を上げた。評価を変えて(1位候補である)Aクラスになった」と明言。球団幹部も揃って熱視線を送っていた。5年連続で外野手の支配下指名を見送っていたことや主力の高齢化、なによりも若手スター候補の不在…。オコエを1位指名する筋の通った理由はいくらでもあり、球団内では獲得への期待感が高まっていた。

 では、そこまで期待を寄せられながら、なぜ直前で指名を見送らざるを得なかったのか…。当時は球団に激震をもたらした野球賭博問題の真っ最中。親会社の読売サイドから例年に増して厳しい素行調査の指令が飛び、野球選手としての絶対能力だけでなく、〝学歴〟が重視された特殊な年だったのだ。

 1位指名の桜井は立命大、2位の重信慎之介は早大、5位・山本泰寛が慶大と、上位は軒並み〝名門大卒〟。「二度と賭博事件のようなことは起こしてはならない。そういった球団の姿勢というものを示す必要があった」(当時を知る関係者)

 結局、オコエはその年のドラフト1位で楽天へ入団。東京ドームでのオープン戦に登場した際、G党が大歓声に沸いたのを見て球団幹部が唇をかんでいたことは今も語り草だ。

 ただ、期待された逸材も楽天では花が開かず。通算236試合で9本塁打、44打点、打率・2割1分9厘。プロ6年目の今季は1軍で6試合の出場にとどまった。

 丸、長野、ウォーカーらがひしめく来季の外野陣に、25歳とまだまだ若いオコエが斬り込むようなら面白い。地元・東京で心機一転、あの時のようにドームで大歓声の中、躍動する姿を期待したい。