第95回記念選抜高校野球大会の第9日第1試合は、優勝候補の大阪桐蔭が初出場の能代松陽(秋田)に大苦戦。わずか2安打で1―0と辛勝し、8強に進出した。

 相手エース森岡(3年)の前に打線が沈黙。エンドランを仕掛けても試合が動かない。映像と打席に立った感覚の違いに打線は戸惑った。先発の南恒(3年)との投手戦は、両チーム無安打が5回まで続いた。チャンスが訪れたのは7回。4番・南川(3年)の三塁打で一死三塁とし、6番・村本(3年)が決死の3バントスクイズを成功させて均衡を破った。

 チームの公式戦では初めてのスクイズのサインだった。一塁方向に絶妙のバントを転がした村本は「2ストライクになってサインが出ました。驚きの方が大きかったけど、気持ちを切り替えた。点が欲しかった。1点入ってとりあえず安心した。バントは得意ではないです」と胸をなで下ろす。

 8回一死二塁のピンチを招いたところでエース前田(3年)を投入。緊急登板となった前田は後続を断ち、9回には無死一塁のピンチから一塁手の佐藤(3年)が送りバントをダイビングキャッチし、併殺に取るスーパープレーで前田を救った。何とか虎の子の1点を守り、2年連続となる8強に駒を進めた。

 歴代2位となる春の甲子園通算30勝目をマークした西谷監督だが、表情は険しい。「ロースコアで接戦とは思っていた。そういう試合になったのかもしれないけど、反省、修正をしないといけない試合。(森岡に)気持ちよく、思い通りに投げさせてしまった。打者の積極性もなかったのでいろんなことをした方がいいと思った。スクイズもあのカウントでは酷だったけど、そこまでにうまく整えられなかったので…。準備はしてきたつもりですが、なかなか結果として表れていないので、しっかりやらないといけない」。前田も「このレベルでは優勝できない。期間中にもっとレベルアップしないといけない」と気を引き締めた。

 この日も2失策。史上初の「2度目の春連覇」を目指す王者軍団に余裕は一切ない。