第5回WBCに臨む侍ジャパンは9日に中国との1次ラウンド初戦(東京ドーム)を迎える。初陣では大谷翔平投手(28=エンゼルス)が先発マウンドに立ち、投打の〝リアル二刀流〟で出場することも決まった。これにより、10日の韓国戦に大谷が先発登板しないことが確定。韓国サイドの反応はというと――。

 やはり、この男が大役を任された。8日に東京ドームで約1時間半の公式練習を行った侍ジャパンは、練習終了間際の前日公式会見で、栗山監督が「非常に大事な第1戦、大谷から行きます」と初戦の先発投手を明言。「戦略上のいろいろな兼ね合いも含めて、これだけいいピッチャーが揃っているので。僕が決めた理由は今は勘弁してほしいんですけど、大事な試合を大谷翔平でいく。それだけです」と続けた。

 その後、会見に出席した大谷は「どこに所属していても一番最初の試合というのは高まりというか、緊張というのは常にあると思うので、明日ももちろんあると思う。同時にゲーム自体を楽しみたいと思っているので、しっかり準備をできれば」とコメント。投打の二刀流で出場することには「初めてのWBCなので緊張するとは思うが、いつも通りの自分らしいプレーをまずはしたい」と述べ、静かな闘志も垣間見せた。

 日本から見れば、中国は明らかに「格下」。しかし国際大会では何が起こるか分からない。加えて重圧のかかるWBC初戦で先発投手としての重責を果たし、チームに勢いをつけるのは「大谷しかいない」という判断材料もあっただろう。

 その一方「大谷中国戦先発」に反応したのが韓国メディアだ。もともと韓国戦の先発は「大谷ではなく、ダルビッシュ(パドレス)が濃厚」と韓国でも報じられていたのだが、この流れを受け「スポーツ朝鮮」は「8年前の悪夢は鮮やかなのに…日本はなぜ大谷を韓国戦マウンドに立たせないのか」と題したリポート記事を掲載した。

 2015年11月に行われた第1回プレミア12の韓国戦(東京ドーム)で7回1安打無失点の快投を見せた大谷が、今回のWBCでの大事な「韓日戦」先発を〝回避〟することが不思議なようだ。

 WBC取材で来日している韓国メディア関係者の1人も「韓国代表は今回のWBCで投手・オオタニに8年越しのリベンジを果たしたがっていたのだが…」と残念がると、こう続けた。

「日本代表はオオタニをあまりにも大事にしすぎている。もしもオオタニがWBCの韓日戦で8年前よりもプレー、スキルの両面でアップした韓国代表に叩き潰されれば、彼は商品価値が一気に落ちてしまう。日本代表の監督やコーチ陣には、そのような計算が働いたのではないか。われわれから見れば、まるでオオタニは『温室メロン』のように映る」

 今回のWBCで、侍ジャパンが〝韓国戦だけ〟を見ていれば、そうなのかもしれないが…。先々の日程を見据え、大谷にフル回転してもらおうとしている栗山監督の思惑は、韓国には理解できないのかもしれない。